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2018ベストトラック30

2018年のベストトラック30を。順不同で並べていきます。画像にリンク(YouTubeやapple music)埋めましたーので、気になったらぜひぜひ。

○清春「赤の永遠」

スパニッシュな趣の、暗く乏しい明りの中で赤いドレスを纏った女性が憂いを秘めながらも情熱的かつ官能的に踊る…という情景が頭の中に描かれる一曲。エレキの音もあるけれども、アコギ(フラメンコのギター?)を基調としていて、彼のディスコグラフィを更新しようという姿勢が強く感じられる。異国情緒漂わせつつも、ポップな聴き心地なのは、ジュリーなどの歌謡曲を通ってきた清春ゆえだろうか。

○SOLEIL「魔法を信じる?」

モータウンなベースのイントロから、舌足らずとまでは言えないけどもミドルティーンさが感じられていまうキュートなボーカルから何からサイコーだ。と、こんなIQ低い感情バクハツな一文で終えてもいいんだけども。モノラル録音で、というところにも60sマナーが聴いていて徹底ぶりが感じられる。

○浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS「Vinegar」

 ソリッドで乾いたファストチューン、それをベンジーがやってカッコ良くないわけがない。ドカドカとしたドラムも唸るベースも引き連れたとなればなおさらだろう。いくら歌詞の途中で食器洗いのやり方が出てきたってそれは揺るがない。いや、むしろそういう隙(ベンジーはマジなのかもだけどさ)がある方がイエーイってなっちゃうよね。

○小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」

最初の「幾千万も灯る都市の明かりが生み出す闇」の「明"かり"」と「闇」という正反対の言葉で「ai」で韻を踏んでるところから興奮するようになってきてしまってる。歌自体のメロディは帰還後の諸作品ほど大きな起伏のあるものではないけど『リバーズエッジ』キャストの吉沢亮と二階堂ふみによるラップ(ポエトリーリーディング?)入るときに超ゾクッとさせられる。映画から切り離したとて、こんな歌詞で曲作れるのは小沢健二しかいないよな、と思わせるワン&オンリーな一曲。

○平賀さち枝とホームカミングス「カントリーロード」

 これを聞くと季節関係なく春風や薫風を感じられるような…そんな爽やかさがある一曲。なのに、始まりの歌詞が「思いつめれば朝」なんだから面白い。演奏というか曲自体はスゴくシンプルなロック、ポップスだと思うんだけど、この二組のコラボレーションがそれにマジックを起こしている。メインボーカルの二人の歌声もそうだけど、コーラスがいいよねえ。

○イヤホンズ「わたしのなかのものがたり」

声優の三人組による曲で、非常に演劇的だけど、ポップスとしての強度もスゴくない?こういう実験的かつポピュラリティも担保した楽曲の作成というのは、作詞作曲の三浦氏擁する口ロロがこれまで行ってきたことではあると思うけども、超ハイクオリティに達成されてる…。アナグラム的に言葉を操りつつも、様々な「ありうる自分」(こういう並行世界的な話って「流動体について」じゃんと思ったり)という点のストーリーテリングもしっかりこなすという…。この一曲自体が楽しめるってのもそうだけど、クチロロ三浦氏が「ロンバケ作る」的なこと言ってたのも踏まえるとホント次の彼の作品が楽しみでしょうがない。

○SANABAGUN.「FLASH」

 誰かがこの曲を「サナバガンにとって米米CLUBでいう「Shake Hip」みたいな一曲になる」的な感じで評していたけど、マジでそんな感じの勢いと、より多くの人にリーチし得るキャッチーさのある曲。その評に尽きる気がする。アルバム自体もけっこうよかったんだけど、この曲でまあ締まる締まる。存在感ありあり。

○小袋成彬「Selfish」

この歌声は強烈なインパクトだったなあ。「何も伝わらないのに 何から伝えればいい」とか、ああ…しみじみグッとくる。長らく聴いてきたポップスのフォーマットとは全く違うのに(平井堅みたいだと言われて、少し同意しなくもないっちゃあしなくもないと言えなくもないけども)なんでこんなにキャッチーに感じられるのだろうか。そういう求心力のある声だからか。

○cero「Waters」

これは、どのような曲と言うべきなのか…トラップ以降の…いやいやよく分らん…。ラップ…いや、というかそもそもアップテンポだったりするわけではないのに、この曲聞くとメチャ上がる。何なんだろうか。「たなびくぼくやきみの足元」という「ここ」の不安定さや異相の存在に触れる歌詞もクールで好き。

○私立恵比寿中学「自由へ道連れ(椎名林檎カバー)」

そもそも椎名林檎の原曲が聴いたことある彼女の楽曲の中で、断トツで好きなんだけども、だからこそ、エビ中カバーの報には当時少しハラハラして。しかしまあ蓋開けてみたら絶妙に噛み合ってたという!まあ、いつも驀地な彼女らに合わないわけがないか。ガチャガチャとしたバンドアレンジにも、たなひーの「道連れしちゃうぞ」にもばっちりやられてしまった。

○私立恵比寿中学「熟女になっても feat. SUSHIBOYS」

この曲収録のシングル「でかどんでん」は収録曲4曲ともMVが作られるほどにどれも四種四様の優れた楽曲なんだけど、特筆したいこの一曲。卒業式風語りパートあるコミカルサイドの曲ではあるけど、SUSHIBOYSのラップは勢いあるし、「文句ありますか~」のサビは鬼キャッチーだしで一瞬でハマった。学芸会でも「文句ありますか~\ないでーっす!/」のコールアンドレスポンスで一際盛り上がっていたっけ。

○BAD HOP「Kawasaki Drift」

 後述するSKY-HI「Free Tokyo」の一節じゃないけど、マジでティーンだったら憧れたんじゃなかろうかという存在感とカッコよさ…。T-Pablowは知ってたけど、それ以外のメンバーの声もフロウも特徴的で次から次から役者が出て来る感じ。「川崎区で有名になりたきゃ 人殺すかラッパーになるかだ」はあまりにも強烈。トラップのビートメイキングもアンダーグラウンド感や彼らのバックグラウンドを味わわせてくれて超カッコいい。

○lyrical school「消える惑星」

もうこの楽曲の切なさったら!!キックの四つ打ちが夜明けに向かっていく時の拍動にも感じられつつ、フックの歌詞もさることながら、二分半頃からリフレインされる「空から消えてくプラネット 街から徐々に消える電灯 もう始発がホーム出ると そう、いつも通りの喧騒」が個人的にドが付くキラーフレーズ!!夢見的な所からジワジワと生活の息づきが起こりだして、日々に帰っていくのを切り取ったこのフレーズに心臓鷲掴まれてしまって…。インストアイベントで見れた時は本当に感激した。

○Childish Gambino「This is America」

この曲を語るにはMVが不可分だと思うので、それも必見なのだけど、曲もとても好き。本リスト内での唯一の洋楽。不穏なパートでのラップもそうだけども、そのパートの間に挟まれた、または最初のアコースティックかつゴスペル的なパートが効果的でイイっすよね。歴史も感じられるし、内容だけでなく曲からも「This is America」が見えるという。

○山下達郎「ミライのテーマ」

シュガーベイブ時代(特に「DOWN TOWN」)や「土曜日の恋人」を思わせるよなキラキラした楽曲(実際、ライブのMCでそのようなことを話してたらしい)で、『SONGS』から40周年経てこれを出すか!という嬉しい驚きを抱かずにいられない。エコーのかけ方とかファルセット使うところについては近年のテイストだなと思うので単純な回顧でなく、今の技術でやってみると、という感じなんだろうな。さあ、来年はアルバムか?!

○Analogfish「Pinfu」

 楽曲の構成要素というか…は非常にシンプルだと思うのだけど、一つ一つの味が深い。呂布カルマの表層は「平和に見える」街の別の側面を暴くラップがイイ。「十人十色 混ぜるとクソの色」という一節は、「みんなちがって、みんないい」というトッテモスバラシイ言葉を一瞬で切り裂くパンチラインだなと思うばかり。そして「この街は平和に見える」というコーラスは聞けば聞くほど背筋に悪寒を感じて来るから不思議。

○SKY-HI「Free Tokyo」

 不利な点を価値転換させたセルフボーストもそうだし、ラッパーなどの固有名詞をこれでもかと出して(こういうのが近年の日本のポップスの弱い点でありラップの強みだとマテリアルクラブのインタビューで小出さんが言ってたっけな)、現状や問題提起や何から何までを3分以内に得意の高速ラップで詰め込んでいる。『カタルシス』の時から追ってるけど、ホント2018年のSKY-HIの行動の早さ・的確さ・世界への目配りとか知れば知るほどスッゲえ。

○陰陽座「飯綱落とし」

 なんというか、陰陽座のキャッチーでメロディアスかつギターソロもガッツリの重厚なアップテンポの曲だ!という感じなのだけど、サビのメロディスゴイよね…二回目の「の」の高音凄まじい…。瞬火さんは黒猫さんのこの曲での歌唱に関して「このような歌が歌える現役のヴォーカリストを、僕は黒猫以外に知りません。」と評していて、実際に俺もライブでも聞いたのだけど、そう言わざるを得ない圧倒的なボーカリゼーションだった。

○ゲスの極み乙女。「もう切ないとは言わせない」

 「もう切ないとは言わせない」のじゃないかよ、何だ親に向かってこのセンチメンタル過剰な一曲は!とでも喚きたくなる疾走感と切なさに満ち満ちた一曲。その切なさはどこから来るものなのか、俺は二番のサビから滑り込んでくるストリングスと、「切ないと言わせない」で用いているファルセットがその要因ではないか、と思ってる次第で。これまでの曲であれば、「だけど僕は」とかのような派手じゃないけど、切なさのある楽曲が好きだったので、ドンズバでハマってしまった。

○STUTS「Sticky Step feat. 鎮座DOPENESS & Campanella」

 KID FRESINOのアルバムの曲もそうだけど、鎮座DOPENESSのラップには、驚かされ耳がひかれてしょうがなかったな。柔軟で、どうやっても、どんな言葉使ってでも乗りこなしていく感じで。ラップというものが一昨年より去年、去年より今年と気になっていくものになってるけど、彼のラップの存在感たるや。曲に関しても、このタメがあるファンキーなノリいいよなあ。

○sads「smily sadly」

ダンスビートなアプローチだけど、アゲすぎておらず、歌のメロディも少し感傷も垣間見えるテイストでイイマッチングだと思う。アルバム内では既存曲を例に挙げると「HAPPY」的な位置にあると考える。ラストアルバムで「sadsはこういうアプローチもできるのか!」とリスナーに未来を想像させるという何ともドSな。

○マテリアルクラブ「WATER」

アルバム随一のキラーチューン。この曲聞いて、スーパーカー「FREE YOUR SOUL」「STORYWRITER」、Koji Nakamura「B.O.Y.」とかが思い起こされたんだけど、それは打ち込み主体のギターロック的な曲だからという点に加え、サビで声を張らない小出さんの歌唱スタイルにもあるんだなと思った。ナカコーもそんなに張らない印象だしなあ。歌詞で言うと、これは俺も「それって、for 誰?part.2」が頭に浮かんだ。これは、単なる社会情勢批判でもフェス文化・音楽シーン批判でもなくて、しかしどちらでもあるという、大小いずれの規模のコミュニティでも起こる様々についての批判と、「そこで自分はどうするか」という表明だなと捉えた。

○THE YELLOW MONKEY「天道虫」

 復活後のイエモンの曲は、「砂の塔」や「ロザーナ」といった憂いのある曲は加齢感も含めイイなーと思いつつ、「Alright」のようなロックな曲にはノレないなーと思っていたところで、いかがわしさのある一曲が。え、新曲でもセクシーさガツガツ出してくれるではないか!そして、サビでの爆発力もしっかりあるという。Mステでのアクトも、しっかり貫禄見せつけてくれて。「シュレッダー」でソロ見た時、「歌詞間違えて、なんだコイツ」と思ったのがホント遠い昔のことのようだ…。

○TWEEDEES「Medley: 東京は夜の七時~21世紀の子供達」

 同アルバム収録曲の「美しい歌はいつも悲しい」(暴力的ともいえるアグレッシブな演奏の上を揺蕩うように流れて行く清浦さんのボーカルよ!)とどちらを選ぶか迷ったのだけど、こっちを。今年は野宮さんも「東京は夜の七時」のセルフカバーをしていたけど、それよりもこっちの方が好き。もうメッセージを超凝縮していて。「早くあなたに会いたい」ってところをいかに光らせるか、という。そのためのメドレーだし。勢いあってもロックに傾かずにポップスにまとめる手腕は流石の一言で。

○折坂悠太「逢引」

 メロディーをなぞると、なんか懐かしさや耳馴染みのある部分とそこから思いっきり逸脱する部分があってそのバランスがちょうどいいのだろうか、グイグイと引き込まれてしまった。そしたら、口上というか、語りのパートもあり、激しいヨーデル?というような歌唱のパートもありと、歌唱の面で色々な方法を、いとも自然に詰め込んでいてカッコいいし、楽しみまくれた。

○Mr.Children「海にて、心は裸になりたがる」

 もういわゆるビートロックというやつでしょ、これは。最後の転調も来るかな…やっぱり来た!wっていうアレンジで。ここでも「オォー」つって…なんて、ちょっとダサさみたいなものを感じつつも、かなりお気に入りの一曲。突貫力のある曲調もそうだが、何と言っても歌詞がゾッとするほど素晴らしいなと思うわけで。それは他ので書いたので割愛するけども。四半世紀以上バンドを続け、コバタケから離れ、肉体的で生々しくて少し(どころではないが)ダサいアレンジを施しているのは、なんか一回りした初々しさがあってイイ。ファンだからこんな呑気なことが言えるのかもだけど、まあいいじゃない。

○星野源「Pop Virus」

 隙間があるのに一打一打に圧を感じるSTUTSらによるビートもだけど、最初のギターの生々しく、年代を感じる音がよ。こっちの方にビックリした。この古きと新しきの折衷のさせようよ。ノイジーな「ブーッ」っていう音もそうだけど、隙間があるようでストリングスもあれもこれもと色んな音を詰め込んでるんだな。

○the pillows「ニンゲンドモ」

 この曲ではポエトリーリーディングが行われている。それはナタリーのインタビューでも答えているけれど、山中さわおの佐野元春に対するリスペクトによるところが大きい。俺は2018年は佐野元春のコンサートに行ったり、過去作を聴き漁ったり、LP買ったりと非常に佐野元春づいていたこともあって、この曲にはビビッと反応してしまった。ラップとはまた異なる調子のリズム感(佐野元春が言う所の「言葉が転がる」感じ)があって、その聴き心地も好き。ギターリフもドラムの感じもたまんない。あと、歌詞に関しては、こういう、言葉尽くして日常のあれこれに物申すの好きなんだよね。ベボベの「それって、for 誰?part.1」そうだけど。

○ももいろクローバーZ「あんた飛ばしすぎ!!」

二枚のアルバム発売以降の楽曲は、自分にとってはどれも平均を上回ってくる満足を感じさせてくれる楽曲なんだけども、アンセム感やみんなのうたを作ろうとする姿勢が割と強いような気がしてて。でも、この曲はメンバーの名前が曲中で出てきてネタ化される曲で。こういう面白かつ破天荒な曲やってなかったよなーという新鮮味と、年齢重ねてすっかりスタダではお姉さん的ポジションになりつつもこういう側面も担えるんだという驚きとでハマった。『漂流教室』オマージュかよ!というジャケのイラストも最高。来年のアルバムも楽しみ。何曲既発なんだという気もしつつも。

○曽我部恵一「野行性」

 トラックがレトロというか、若干古めかしさも漂わせつつも、濃密でカッコイイ…。歌詞見てみると、「あやかしわびしおそろしわたくし」とかその辺の件は、はっぴいえんどの「あやか市の動物園」とか、「暗闇坂むささび変化」とかを意識したものなのかなーと思ってみたり。というか、もうさ、タイトルの時点でメチャカッキーよなと思ってしまう俺がいる。

一曲一曲では去年の方が聴きこめたし、インパクト強い曲が多かった気がしなくもないけども、今年も好きな曲沢山増えてうれC。来年も楽しみ。

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