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2024年上半期ベストトラック・アルバム10選


上半期ベストトラック10

サニーデイ・サービス「Pure Green」

スカッとする爽快感のあるバンドサウンド!『DOKIDOKI』から、クリエイトと瑞々しさのギアが全く下がってなくて最高!ラブソングでありながら「花束が似合うような人生でありたい」という人生観も忍ばせるのも素晴らしい。これは「ぼく」のためでもあるし、「きみ」のためでもあると思う。ラストサビで転調するのはベタ過ぎるかもだけど、最初にここの歌詞が出てきた時よりも気持ちが高まっているのを表しているようでとっても機能している。

Number_i「GOAT」

「あ~、元キンプリのメンバーのでしょ~」とか宣ってた俺を殴りに行かなきゃ…と反省カマすほどカッコいい。デビュー曲のリリックとして「俺らについてくりゃ見せてやるnew world」とかバッチシにもほどがある。続くリード曲の『BON』もよかったし、PECORIの才能も世間に届いてきたな~という思いも重なって期待に満ちたグループ。

NewJeans「Bubble Gum」

今年リリースされた4曲とも素晴らしいのだけど、俺の中ではこの曲が頭二つくらい抜けている。浮遊感のあるバックトラック、左右にパンされたギターのカッティング、「the hustle??」とも思わなくもないフルートの旋律、隙間なく敷き詰められた4人の歌声、夢や幻を眺めていたんじゃないかと思うほど浸ってしまう。泡のようにこんな時間は弾けて消えることは知ってるのに。

岡村和義「サメと人魚」

イントロのストリングスから一瞬で名曲の風格が漂っている。岡村靖幸のビバナミダ以降の新曲に、こういった大らかで情感たっぷりのバラードがなかったのだけど、ここまでのが出てきたなら、と思う。ハッキリ言って「イケナイコトカイ」「カルアミルク」にも引けを取らない楽曲に仕上がっている。斉藤和義が弾くギターソロがどこかプリンスめいてるのもイイっすね。

清春「sis」

彼のディスコグラフィでいうと「NITE & DAY」や「slow」につながるようなスイートなミドルチューン。近年、彼のポップセンスはドラマティックなメロディーや、原田真二などを参考にした歌謡のエッセンスが強い楽曲であった。これまでにもない、しかしながらこれまでに磨いてきた武器が遺憾なく発揮されたロックスターによる素晴らしいポップソング。

LEX「この寒い夜だけ」

ラッパーだということは知ってるのだけど、エレキギターの弾き語りを基調とした楽曲。声の加工や、フックでのコーラスなど、従来の弾き語りの楽曲では違和感になるアレンジが非常に現代的に感じる。デジタルな声の加工、揺れの隙間に人間味があふれ出ている。

MONO NO AWARE「同釜」

最初聴いた印象が「Mr.Children『CENTER OF UNIVERSE』だ」だった。マーチを刻むドラムロールと叙情的な歌唱からバンドの姿が見え、ラップパートに移行し、また肉体性を帯びたバンドサウンドに着地するというアクロバティックながら必然を持ったサウンド。歌詞については森達也「いのちの食べかた」的というか、食事を介した人とのつながりもいいが、「こんがりトーストに塗るジャムにも流れる血」「そしていつかシェフが俺たちの腹わたを捌く」といったラインをよくぞ書いた!とシビれた。

YUKI「流星slits」

収録アルバムのタイトルワードが冠されたこの曲は、いわゆる「joy」以降のダンスチューンのイメージに沿った曲。しかし、1:30程に位置されているラップパートが新たな魅力を放つ。元々語感重視したような歌詞も少なくないが、完全にラップ的フロウで歌うとは。新機軸をどんどん試すことで、風穴を自身のキャリアに空けてきたのだな。

Base Ball Bear「夕日、刺さる部屋」

ここで詳述したため割愛。

cali≠gari「月に吼えるまでもなく(17 vr.)」

彼らのビートロックを基調とした、こういう歌モノに弱すぎる。。近年はこの界隈で星になった偉人が多くいた・・・。それを踏まえられたかのような内容の歌詞もこの2024年に出されるべきもの。しかしそのタイトルが「月に吼えるまでもなく」なんだから、過剰な泣きに溺れないドライさも感じられて、このバランスこそと思うばかり。

上半期ベストアルバム10

気分で順位も。

10位 YUKI『SLITS』

最初のダンスチューンの連打から、「こぼれてしまうよ」を代表とするミドルチューンまでの流れが見事~。

9位 ZAZEN BOYS『らんど』

音のジャキり具合、夕方感サイコーな一枚。一方で、『すとーりーず』のようなカラフルでソリッドな感じとか、『4』までのようなとびっきりのキラーチューンみたいなのがもう少しあれば…なんて、現時点では思う俺がいるのでこの位置に。

8位 THE BAWDIES『POPCORN』

何作かぶりにヒットした。3分以内のガッツ漲った楽曲が並んでてアガる。「SUGER PUFF」みたいなポップスもちゃんと機能しているのが好印象。

7位 lyrical school『DAY 2』

EPの楽曲が多く収録されているのが少しばかり気になるけど、新曲も軒並み良くて、これまでになかった不穏なテイストの「Ultimate Anthem」の存在感たるや。

6位 キンモクセイ『洋邦問わず』

TLで言及している人が少なすぎる。。。ムチャ高水準のポップスが並んでいる一枚。前作よりも「再結成したからイイ作品出さないと!」みたいな肩ひじ張った感じのない、大人の真摯さでまとめられている。

5位 MONO NO AWARE『ザ・ビュッフェ』

「風の向きが変わって」以降の充実ぶりがパッケージされてる。「イニョン」や「うれいらずたのぼー」みたいな知ってるカルチャーとの接続も楽しいし、「食」を介した人との関わりに思いを馳せられるつくりにもビビッとやられた。

4位 私立恵比寿中学『indigo hour』

あきらかにKPOPにインスパイアされた楽曲群(ビジュアルワークもそうであるし、逆輸入的に学生感がまた表出したなと思いつつ)で、2024年に出すべき楽曲群だし、それがバッッチリ新体制のエビ中にハマってる!ユーモア系の楽曲が全然ないのも個人的によかった(一曲目の自己紹介ソングですらバチバチのラップソングだしね)。

3位 Base Ball Bear『天使だったじゃないか』

出す音のゼロ地点以前への回帰による新鮮さもさることながら、曲の構成の妙による新たな面白みをリスナーに提供している。まずもってタイトルが超秀逸。本作については詳述した。

2位 Dos Monos『Dos Atomos』

爆音大賞受賞ですよ、こりゃ。核爆弾か、日の丸かどちらの熱か分からないけれど、地下熱以上の放射する熱を感じるし、アルバムとしての強度が高い。無数の固有名詞の存在によって、意味を感じつつも同時に無意味にも感じられて、初期にtaitanが言ってた「過剰なトコロテン」という言葉を思い出した。

1位 清春『ETERNAL』

もう・・・最ッ高。録音もソロ史上一番イイ。ベース・ドラムレスで、何かしら不足を生むのではなく、完全に個性として昇華しきっている(前作は不足にしか感じられなかった(変化がギターの増幅くらいしかアイデアがなかったように感じた))。こういった編成になることで、鳴る音も、流れるメロディも新たなものを獲得している。圧倒的位置に到達してる作品。

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