2024年ベストアルバム10
滑り込むぞ、2024年。
10位 私立恵比寿中学『indigo hour』
上半期選出。明らかににK-POPにインスパイアされた楽曲群(ビジュアルワークもそうであるし、逆輸入的に学生感がまた表出したなと思いつつ)で、2024年に出すべき楽曲群だし、それがバッッチリ新体制のエビ中にハマってる!ユーモア系の楽曲が全然ないのも個人的によかった(一曲目の自己紹介ソングですらバチバチのラップソングだしね)。
9位 ZAZEN BOYS『らんど』
上半期選出。音のジャキり具合、夕方感サイコーな一枚。前作から12年を経て、郷愁などといったセンチメンタルな成分が増しているのは、向井秀徳も人生の夕暮れに佇んでいるということか。今作に射し込む夕陽については試論をnoteにまとめた。
8位 material club『material clubⅡ』
メインコンポーザー・フロントマンが同じとはいえ、ベボベとは全然違うものになっている。そして、バンド編成になったことで前作とも全く違うものとなっている。「Naigorithm」や「Curtain part.2」のような、今回のメンバーだからこそできた楽曲がアクセントとなり、勇壮な印象を与えるピアノを基調とした長尺曲「Altitude」へとつながる流れは一つのアルバムとしてよくできている。
7位 キンモクセイ『洋邦問わず』
上半期選出。TLで言及している人が少なすぎる。。。まあ「2024年らしさ」みたいなものがあるというよりは、普遍的なムチャ高水準のポップスが並んでいる一枚になっているが。復活作となった前作よりも「再結成したからイイ作品出さないと!」みたいな肩ひじ張った感じのない、大人の真摯さでまとめられていて、その聞き心地のよさゆえに一年通して聴けた。
6位 MONO NO AWARE『ザ・ビュッフェ』
上半期選出。「風の向きが変わって」以降の充実ぶりがパッケージされてる。「イニョン」や「うれいらずたのぼー」みたいな知ってるカルチャーとの接続も楽しいし、「食」を介した人との関わりに思いを馳せられるつくりにもビビッとやられた。同世代の充実作、何がなんだというわけではないけど励まされるものがあるよね。
5位 Base Ball Bear『天使だったじゃないか』
上半期選出。出す音のゼロ地点以前への回帰による新鮮さもさることながら、曲の構成の妙による新たな面白みをリスナーに提供している。まずもってタイトルが超秀逸。2024年アルバムタイトル大賞受賞作品です。本作については詳述した。
4位 トリプルファイヤー『EXTRA』
思えば遠くへ来たもんだ、と思わずにはいられない作品に仕上がってる。吉田の歌詞は「愉快」と「恐怖」を酩酊状態で彷徨い続けており、背筋に冷や汗をかき続けながら口元はニヤついてしまう。では体は?これまで以上に肉体に訴えかけるファンク成分が増し、踊らずにはいられない。名曲「相席屋に行きたい」をはじめ、キャッチーな楽曲が増えたのもうれしいところ。
3位 THE SPELLBOUND『Voyager』
完璧な正方形のような構築美を創り上げた前作から、完璧主義な部分はそのままに、肉体性が強化された何ともスピーディーかつ激烈にパワフルな一枚が降臨した。特に冒頭4曲なんて失神しそうになるほどカッコのよろしい流れですことよ。ただの早口とも違う、ラップ的なフロウともまた違う速射砲のような歌唱もユニークで聴きどころ多しな一枚。
2位 Dos Monos『Dos Atomos』
上半期選出。爆音大賞受賞ですよ、こりゃ。核爆弾か、日の丸かどちらの熱か分からないけれど、地下熱以上に放射する熱を感じるし、そのサウンドは一貫しててアルバムとしての強度が高い。無数の固有名詞の存在によって、意味を感じつつも同時に無意味にも感じられて、初期にtaitanが言ってた「過剰なトコロテン」という言葉を思い出した。
1位 清春『ETERNAL』
上半期選出。最高。録音もソロ史上一番イイ。ベース・ドラムレスで、何かしら不足を生むのではなく、完全に個性として昇華しきっている(前作は不足にしか感じられなかった(変化がギターの増幅くらいしかアイデアがなかったように感じた))。こういった編成になることで、鳴る音も、流れるメロディも新たなものを獲得している。圧倒的位置に到達した作品。恐ろしいところはこの作品はゴールではなくあくまで通過点でしかなく、ライブのバンド編成も未だ模索中であるところ、何処まで行くのか、清春よ。