64アニメ「死神坊っちゃんと黒メイド」さわれない=つながらない=関係ない
すばらしい作品でした。
坊っちゃんは貴族の嫡男に生まれながら、魔女の呪いによって触れるものの命を奪ってしまいます。
しかし、坊っちゃんは魔女の思惑とは裏腹にアリスとともに様々な世界に「触れ」てゆきます。音楽、読書、絵画、料理。やがて執事やアリスのみならず、忌み嫌われる魔女たちや、離れて暮らす妹などとも「触れ」あってゆきます。
対照的に彼を「死神」と呼び隔離した家族たちはお互いに「触れ」あいません。坊っちゃんを避け、また家族同士でも距離をとって食卓を囲むにすぎません。彼らは抱擁しても死なせてしまう事など無いのですが、交流しようとはしません。
坊っちゃんは植物にすら「触れ」る事はできません。枯らしてしまいます。しかしアリスへの優しい愛情、友人への信頼、読書や音楽への好奇心は世界に接触しよう、関わろうという豊かさを実現しています。
さわれないけど「よりたくましく」触れる、生きる坊っちゃんと、さわれるのになにもしない母たち。私は身につまされる思いがしました。