コード譜面の読み方19
前回までで、どんなコード記号がきても、とりあえず音符が書け、
音符の塊がきても、とりあえず何か記号で表すことができる
と言うことが分かったかと思います。(分からない)
今回からは、イレギュラーなコード記号たちについてみていこうと思います。今回は「分数になったコード」を取りあげます。
● 分数になったコード
分数になったコードは下記のようなものなのです。
分数と言うだけあって、分母と分子があります。
この分数になったコードは非常に厄介です。
なぜなら幾つか理解しづらいところがあるからです。
<厄介なこと〜その1:分母が和音でなく単音>
上記の場合、音をみてもらえば分かるのですが、
Cのコードのドをオクターブ上げたものになります。
この場合、当然構成音はC なのですが、
「Cなんだけど、一番下の音をどうしてもミにしたいんだよ!」
と言う作曲者のワガママが含まれます。。。
何回か注意事項に書きましたが、大文字で書くC とかE とかは、和音の場合と単音の場合があります。この場合の分母は単音(ミ)を表しています。上に乗っかっている分子は構成音がドミソであることを表しています。
こういうコードを「分数コード」と言います。
<厄介なこと〜その2:分母の音が分子に含まれないタイプ>
こちらはその1とは異なり、分子のコードの構成音に分母の単音が含まれないケースです。具体的な例でみていきましょう。
左右の構成音は全て一緒です。
しかしながら、左のコードはC7sus4(9) と表記しているのに対して、右のコードはBb6/C となっています。
これは、単純に”見やすさ”と前後のコードとの関係によるのですが、複雑なコードを表すためにベースの音を分母に書いて、分子のシンプルなコードだけで表す場合があります。
これは作曲者や編曲者の「みやすくしています」、もしくは「ベースは絶対Cを弾いてね」という気持ちから来ています。どちらが良いかは分かりませんが。。。(アドリブを取る時とかはスケールが決めやすいので左が良いケースもあります。)
余談ですが、Bb6とGm7は同じ構成音になるので、Gm7/C でも良いと思います。これも前後の文脈やKey など書いた人の意向に沿います。また、C7sus4 としてみた時に、5度は省略されることもるため下記も成り立ちます。左にはGが入っていますが、両方ともBb/C です。
このタイプは、Hybrid Chord (Major or minor) と呼ばれることもあるようです。
<厄介なこと〜その3:分母分子ともに和音>
分母も分子も和音のケースもあります。
こう言う場合、正式には分数コードではなく、
Poly Chord (ポリコード 、複合コード)と呼びます。2つのコードが合わさっているからです。
下記を例にします。
この場合、前回までのルールに則れば下記のようになると思います。
ただこの場合はレ、♯ファ、ラを「Cの上にDが乗っかっている」と考えた方が分かりやすいですね。
なので、こう言うケースでは作曲者の粋な計らいで分数で表記されています。
(ちなみにC(9,#11,13)と書くと見辛いので顰蹙(ひんしゅく)を買うケースがあると思います・・。)
このポリコード は正式には斜めスラッシュの分数ではなく、普通の分数で書くのがルールです。
ポリコードの分母分子 は3和音で書くのが基本です。
3和音であれば、メジャー(C)でもマイナー(Cm)でも構いません。
(Dim とかAug は分かり辛いのでみたことないですね。。)
※ 場合によってはスラッシュコード(Slash Chord)と呼ばれますが、同じ意味です。