クジラの油で石けんを?!
先日、知り合いから古い石けんをたくさんいただきました。年末に掃除をした際、押入れの奥から、いつのものだかわからない、古い石けんが大量に出てきたので、もし再利用できるなら使ってほしい、と譲ってくださったのです。
いただいたのは、花王の「ホワイト」。調べていると、現在もパッケージを変えて販売されているようです。パッケージを見ると、「クリームみたいな泡立ち」がウリの石けんだったことが伺えます。おそらく40年ぐらい前のものと見受けられましたが、入っている香料の匂いがきつく、開封前から匂いが立ち込めていました。
早速製造担当の堀内が、細かく砕いて鍋に入れ、塩析をし始めました。添加物がいろいろと加えられているようなので、石けん分を分離して取り出すためです。
しかし、この作業には手慣れている担当も、なかなか今までにはない振る舞いを見せることで、やや手こずっているようす。一体、どんな油脂を原料に作られた石けんなのでしょうか。
パッケージには、添加物の表示しかありませんでしたが、一番のウリである「クリームのような」泡立ちのために加えられているのは、どうやら「セタノール」という成分のようです。そこで、セタノールについて調べてみたところ、クジラの油から取れるアルコールの一種であることがわかりました。
もう捕鯨が禁止されてから久しいので、こうした原料が用いられているということは、まだ捕鯨が禁止されていなかった1986年以前に製造された石けんだと考えられます。石けん素地の原料となる油脂も、クジラの脂(鯨蝋)を使っていたのではないかということでした。
ちなみに、もともとは日本だけでなく欧米でもさかんに捕鯨が行われていましたが、それは、クジラから大量に取れる鯨油が目的でした。灯火用の油、ろうそくの原料、石けん原料、機械用潤滑油などに幅広く用いられていたのです。
石けんにも歴史あり。そんなことを感じさせてくれた「花王ホワイト」でした。
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