写真で切り取る言葉:「あなたの沖縄」ワークショップ【私的備忘レポ】
ZINEを2冊刊行して精力的に活動しているコラムプロジェクト「あなたの沖縄」が、「私も知らない自分の言葉」をテーマにワークショップを行い、なおかつ第1回目のゲスト講師が写真家の上原沙也加さんだというので、オブザーバー的記録係として写真を撮りながら参加した。
「写真で切り取る言葉」と銘打たれたこの日のワークは、「あなたが今残したいと思う沖縄の風景」を参加者各々で1枚撮影して持ち寄り、その写真についての言葉を紡いだ上で、他の参加者からのコメントをもらうというもの。
居住地付近の行動範囲内やふと通りがかった場所、旅先として訪れた離島等等、参加者それぞれの暮らしやまなざしがにじんでいるような、様々な風景が切り取られて机上に並んだ。
ワークの前、主宰の由良さんと沙也加さんが軽くトークする時間があった。
「1番小さな主語から始めたいんです」と、沙也加さん。撮影、写真の選定、そして執筆について自らのアプローチや思考のプロセスを穏やかかつ丁寧な語り口で説明する中で、たくさんのパンチライン的フレーズが飛び出していたし、さらにそれらの言葉は沙也加さんが撮っている写真と非常に呼応していたように感じた。
「撮影している時間よりも、見返している時間・写真について考えている時間の方が長いし、重要」「フレーム外の時間や空間に想像を巡らせる」という指摘にはとても共感したし、自身の写真について「その日その時間に立ち会って記録した“証言”のようなもの」と評していたのもかなり印象深かった。
沙也加さんの写真集『眠る木』を初めて捲った時、自分ならば見過ごしてしまうどころか立ち止まりすらしないであろう光景を捉える視点による作品がたくさん連なっていて、それらの写真はタイムラグを伴って自分の感覚の中に静かな鮮烈さを醸成していったような感覚がある。
そして、その感覚は十全に言語化することは当然不可能だし、それが可能であると思うことなど不遜極まりないことなのだけれども、一方でその感覚をどのように自分の言葉で表現できるのか/できるようになるのか、ということはずっと脳みその隅っこに在り続けている(そのうち書きます、と言って早幾星霜…)。
この日聞くことができた沙也加さんから発されるライブでダイレクトな言葉は、写真集を開いた時のえも言われぬ言語化できない感覚の輪郭(の一端)を、ほんの少しだけ明瞭化してくれた。ような気がした。
ワークタイムに突入すると、4人テーブル×4にわかれてそれぞれのシマで写真を巡る言葉が飛び交う豊かな時間が流れていた。
ほとんどの人たちがきちんと「自分の言葉」で自分の写真について語っていて、自己紹介で「人前で喋るのは苦手で…」と言っていた人が、後半にはもうなかなかに饒舌になっていて思わずちょっと笑ってしまった。
催しが終わって撮影した写真を見返していたら、気取らず、気負わず、構えず、衒わず、フラットに話せる和やかな空間だったことが、写真にも如実に表れていた。
つーことで「あなたの沖縄」のみんな、沙也加さん、そして参加者の皆さん、お疲れ様でしたー。
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