ERでの看護師エコー下穿刺(末梢静脈カニューレ)のレビュー
皆様の施設では末梢静脈カニューレ挿入をどのように実施されていますか?
救急部門では、末梢静脈カニューレ挿入(PIVC)が頻繁に行われる手技ですが、成人での初回試行の失敗率は最大40%、小児では65%に達することが知られています。本日は、超音波ガイド下末梢静脈カニューレ挿入(USG-PIVC)を救急看護師が実施した場合の有効性を検討したシステマティックレビューとメタアナリシスの研究をご紹介します。
論文紹介
Lorena Álvarez-Morales, et al.: Ultrasound-guided peripheral intravenous cannulation by emergency nurses: A systematic review and meta-analysis, International Emergency Nursing, 2024. Int Emerg Nurs. 2024 Mar;73:101422. doi: 10.1016/j.ienj.2024.101422. Epub 2024 Feb 23. PMID: 38401479.
本研究では、救急部門の看護師が超音波ガイド下で実施する末梢静脈カニューレ挿入の有効性を評価するために、文献レビューとメタアナリシスを行いました。2023年3月にPubMed、Scopus、CINAHLを使用して検索を行い、最終的に20件の研究が分析されました。
研究結果
分析結果によれば、USG-PIVCは従来の視覚や触診に基づく技術と比較して、以下の点で優れていることが確認されました。
全体的な成功率の向上:USG-PIVCを使用した場合、従来の技術よりも高い成功率が示され、オッズ比(OR)は0.42(95%CI: 0.25–0.70、p<0.05)でした。
初回試行成功率の改善:USG-PIVCを使用した場合、初回の挿入成功率が有意に高まり、複数の研究において成功率は72%から87%に達しました。
患者満足度の向上:患者はUSG-PIVCに対して高い満足度を示し、従来技術を用いた場合よりも痛みが少なく、挿入時の不快感も軽減されました。
一方で、挿入に要する時間や試行回数に関しては、USG-PIVCと従来の技術との間で統計的に有意な差は見られませんでしたが、成功率や合併症の減少は一貫してUSG-PIVCの方が優れていることが確認されています。結論
本研究の結果は、救急看護師が超音波ガイド下で末梢静脈カニューレ挿入を行うことが、従来の技術に比べて成功率が高く、患者の満足度も向上し、合併症のリスクを低減できることを示しています。これにより、患者の診断や治療開始の遅延を防ぎ、看護師の技術向上にも寄与することが期待されます。皆様の施設では、看護師のエコー使用はいかがでしょうか?
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1755599X2400017X
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