透析用カテーテルのロック 生食vs重曹
皆様の施設では透析用カテーテル(短期・長期用)のロックに何を使用していますか?
多くの病院ではヘパリン原液、またはヘパリン加生食が多いと思います。
今日紹介する論文ではただの生食と7.5%メイロンを比較して感染率や血栓閉塞を比較したものです。
Adel S. El-Hennawy, et al: Sodium bicarbonate catheter lock solution reduces hemodialysis catheter loss due to catheter-related thrombosis and blood stream infection: an open-label clinical trial : Nephrol Dial Transplant(2019)34:1739-1745
透析用カテーテルが使えなくなる原因は最大42%が血栓閉塞であり、またある前向き研究では透析患者の35%がカテーテル挿入3か月以内に菌血症を発症している。カテーテルの抗生剤ロックが提唱されているが耐性菌発現の問題もある。
メイロンは重炭酸塩を介したCaイオンのキレート化がフィブリン生成を阻害し、凝固を抑制することができる。また、最近の付着を減らしバイオフィルムの形成を防ぐことで細菌の増殖を阻害するとされている。また安価で手に入りやすいこともメリットである。
アメリカで行われた前向きコホート、オープンラベル試験である。短期・長期カテーテル問わず451人がエントリーされ、生食ロック群と、メイロンロック群に無作為に割付けられた。両群ともヘパリンフリーの透析治療を受けた。
メイロンロックでは血栓閉塞によるカテーテルロスが低かった(p<0.0001)のに対し、生食ロック群ではオッズが26.6倍であった(95%CI:3.57-198.52)。またメイロンロックでCRBSIの率が低かった(P=0.0004)のに生食ロック群ではオッズが15.9倍であった(95%CI:2.09-121.61)
結論:透析カテーテルをロックするのにメイロンを使用すると血栓閉塞・CRBSI両方でのカテーテルロスを安全に減らすことができる。メイロンロックにより高価な血栓溶解剤やカテーテル交換、感染による入院を回避することができ、大きなメリットが得られる。
当院でも数年前から短期留置カテではメイロンロックを使用しています。それで特に問題が起きたことはありません。
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