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サカキミヤコ展示会「ふしぎ」開催報告|2025年1月19日
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S.Kへ捧ぐ
Ⅰ.ごあんない
展示会概要
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作家紹介
![](https://assets.st-note.com/img/1737381097-Esv6kVeRMcrByAup92QKqCLF.png?width=1200)
作品紹介
![](https://assets.st-note.com/img/1737371855-50IhNXoH6eiMZ4mGwaCluLAY.png?width=1200)
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Ⅱ.展示作品
諦念(1 - Let go)
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無碍(2 - Pure tone)
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渾沌(3 - Undivided)
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ふしぎ(4 - Unrelated) 新作
・映像
・空間
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Ⅲ.作者より
こんにちは、環境作家のサカキミヤコです。
今、この文章を読んでくださっていることに感謝します。
1.作品の解釈について
自由に解釈してください。あなたが感じたことが正解です。LassLosシリーズはメッセージ性のある作品ではなく、主人公たちのみた心象風景そのままを現すことに専念した作品群です。会話するように接してもらえたら嬉しく思います。
解説のシートは主人公たちと出会ってもらうための"プロフィール"のようなものなので、もし、文章に書かれていることと全く異なるように見えたのなら、そうなのかもしれません。描かれているのは人間なので、周りの人も、本人さえも正確に解説することはできませんから。
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2.主人公たちについて
作品には1→2→3→4と番号を振り、物語設定としても「ひとつ前の限界(最高到達点)を引き継いで、次の主人公の人生がスタート」しますが、彼らの間に優劣はありません。
1作目の"諦念"のように視野狭窄とも言えるほどの意を決し、周りに一切関心がなくなるほど集中が高まる日もあれば、"無碍"のようにこのままずっと過ごしていたくなる穏やかな心地の日もあり、"渾沌"のようになにひとつ定まらないまま揺らぎ続け、それでもなお変われないことにやりきれない思いを感じる日もあると思います。
周りからは「もっとリラックスした方が良い/もっと自分の意見をしっかり持った方がいい/このままじゃ良くない」など言われるかもしれません。
そんな時に「自信を持って。全く問題ない。完全に一緒じゃないとは思うけれど、わたしはそれに似た気持ちを知っている。」とただ肯定してくれるのがLassLosの主人公たちです。
ですので、最新作の"ふしぎ"がいちばん[すごい]のかというとそうではありません。彼女もまた偏っていて、"諦念"の方が直球で周りを巻き込んで行動できそうですし、"無碍"の方が余計な考えを鎮めるリセット力を持っていそうです。そして"渾沌"の方が、あいまいをあいまいのままにしておけるやさしさを持ち合わせていそうです。
彼らが辿り着いた到達点は、どれもあまねく尊いものです。
これは余談ですが、作品になる前、彼らはひとりきりの世界にいますが、どうやら作品になった後は友人関係になっているようです。
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それぞれ性格はバラバラですが、ひとりでも生きていけそうな人こそ、その歪な形のまま補完し合える誰かと、繋がっていて欲しいと願います。人間関係は面倒ですが、ひとりじゃ味わえない喜びもありますから。
なので、1作つくり上げた後は、主人公たちに友達ができたことを嬉しく思っています。
彼らは基本的には単独行動をしていそうですが、今日から"ふしぎ"も合流して、心なしか以前より緊張がほぐれた様子なので、完成できてよかったです。
3.逃げBar White Outによせて
今回は会場となる逃げBar White Outが1月末で幕を閉じることもあり、"この場で展示すること"に注力した作品でもありました。
逃げBar White Outは二千十九年十二月二六日に開かれた「逃げ場」
店頭は鳥居形に白くペイントされ、俗世から足を洗い
右手の天まで結ばれた揺り籠で生まれ直し、左手の棺桶であの世へ渡り、その先に光の集結点となるよう黄金比で並べた死後のスペースがある。
植物は入り口から奥に向かうにつれ天地逆転するよう配置され、棺桶を抜けると時計は今だけを示し、最も高い棚の上には白蛇を祀っている。
“逃げることは星の視点から自らを見つめること”というステートメントに則り、生と死の間にあるこの空間は、四年間様々な「逃げ」が交錯してきた。
他者や時間からの逃げ、自分や過去からの逃げ、一時的な逃げや、逃げ切りたいという強い想い。様々な逃げは逃避交換日記と逃げノートという他者の逃げを閲覧可能な媒体に記述され、人々は逃げの相対性に想いを馳せながら、自らの視点を空白の頁に記述した。
店内では逃げたいテーマを持つ人々が日替わりで店長を務め、様々な逃げ場が開かれた。
「白葬」というあたらしくなるための生前葬も執り行われ、新たな門出の場ともなった。積算した床の汚れや傷は全て白ペンキを上塗りすることで消し、それを見て人は美しいと言った。綺麗な色を上塗りして汚れをなきものにする“美しい”営みを続け美や正義を問い続けてきた。
そして逃げ場は二千二十五年一月末日に消える。さて、逃げ場はそもそもあったのだろうか。どこかに行くことで、何かをすることで、人々は逃げられたのだろうか。駅前一階路面店の気安く入れる逃げ場が生まれ、そして消える。
さぁ、明日からあなたはどこに逃げる?
何をして逃げる?
どこまで行けば、逃げたことになるのだろうか。
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・空間設計について
今回は、空間に作品4点というシンプルな構成です。特別な装飾は行なっていません。当初は装飾や照明などを用いて「駅」を想起させるようなレイアウトとする案もありました。しかし、空間自体が物語と文脈を持ち、時間をかけて練られてきた作品であることから、逃げBarという作品とLassLosという作品の接点を探り、その結節点を結ぶ最低限のしつらえとしました。
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「無い」が「在る」状態が際立つ
結節点ですが、はじまりとおわりの境界線上の場所であること、ここではないどこかの象徴として共同幻想によって成り立つ場所であること、生と死、円環する世界観を土台として援用しつつも、同時にその世界観すら意味を求めるゆえの虚構であることを否定しない無常感が根底にあることなど、たくさん見つかりました。
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見えなかった影が空間に浮かび上がる
また、1回の来場者数は1名とし、認識されることのない=存在しなくてよい状態で、他者と接するための意識を排して鑑賞いただきました。
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しろくま、たこさん、ひつじもそっと来場者を見守っていた
世界観のトーンを維持するために協力いただいた武田さん、来場者が空間に
没入しやすくなる環境づくりを担当いただきましたが、絶妙なバランスのアテンドをありがとうございました。
・新作ふしぎ(4 - Unrelated)について
今回は色彩と穴が特徴的です。
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上塗りされてきた“美しい”白に包まれたこの空間には、同時に白い光には程遠い想いが積算されているはずと考えました。
ふしぎのラストでは、人間を代表して穴を貫通させるシーンがありますが、その際に宇宙の経験したあまねく感情と経験が溢れ出してきます。その映像と、これまでなかったことにし、白に内包されてきた想いを色で表現し、来場者とともに供養し、清め、祓うという仏教儀礼と神道儀礼を合わせた演出を組み込みました。
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そして穴とは「裏」と「表」という決して接することのない2つの概念を強制的につなぐ唯一の手段です。
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時間のないはじまりとおわりの境界線上にあるあの場所自身が、唯一逃げられる可能性があるならば、入出口からではなく穴からなのではないかと考え、穴という可能性をそっと伝えてみました。
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この「かたち」の意味はまだ見出せていない
時のない空間の中で、多くを白の中に受け入れ人々を逃してきた逃げBar White Outに対して、感謝と尊敬の意を表します。
今まで本当にありがとうございました。
それでは長くなりましたが、この辺りで展示会の開催報告を終えたいと思います。
この度は、サカキミヤコ展示会「ふしぎ」
ありがとうございました。
環境作家 サカキミヤコ
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