夢野久作『殺人リレー』オリジナル・リメイク版(前編)
私が女車掌として働いているバス会社に、新高竜夫という男が入社してきた。
私たちの前に立ち、「新高(にいだか)です。よろしくお願いします」と簡素な挨拶をする彼の顔を見て、あの切れ長の目に見つめられたらたまらないだろうなと思った。
朝礼が終わり、それぞれ自分の持ち場に移動し始める。私も、バスが停まっている駐車場へと移動する群れの中に交じった。
「新高さんって彼女とかいるのかしら」
「いるに決まってるじゃない、あんないい男」
「でも、結婚しているわけじゃないでしょ。あたし、