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2019 有馬記念 菊花賞好走馬と天皇賞春好走馬の評価をレースラップから考える


 ・全体的な傾向

菊花賞、天皇賞春好走馬が有馬記念で好走するというのはよく言われる事で、過去データからもこれが妥当そうであることはわかります。

菊花天春表

その理由はレースラップが似ているためだと言われています。

有馬記念、菊花賞、天皇賞春共に6回のコーナーがあり、上り坂と下り坂でペースに偏りが出るという点で共通しています。ただ、直線の急坂の有無という大きな違いがあるということは言うまでもないでしょう。

以下が過去10年の平均のラップタイムの比較です。

有馬日経ラップグラフ

天春菊ラップグラフ

どちらも道中の上り坂で息が入り、下り坂を抜けたあたりから4~5ハロンのロングスパート。

したがって、有馬記念と菊花賞、天皇賞春はレースラップの傾向が近いため、菊花賞あるいは天皇賞春で好走した馬は有馬記念でも好走しやすい、ということになります。(日経賞は相手関係が異なるが、レース条件は等しいためラップから考えれば好走条件として考えることができます)

 

しかし、これは過去10年の平均であり、2019年の考察にそのまま当てはめるわけにはいきません。近年のレースラップを詳しく見る必要があると考えられます。

 

・各年度について

・菊花賞
2019年と2018年のレースラップ

菊花賞1819平均グラフ

2019、2018共に3分6秒台での決着となったがレース内容は全く違うものでした。

 

2018年はジェネラーレウーノが極端なスローで逃げ、道中でスタミナを消費しないペースに。例年であれば坂の下りでペースの上がるはずの12-13Fでもペースが上がり切らず、結果的にラスト2Fの切れ味勝負となりました。3-4コーナーでペースが上がる例年の流れでは、外から捲った馬は脚を使わされ終いの伸びに欠けることになりますが、2018年は寧ろ直線への助走となり有利になったと言えます。エタリオウにはプラスになった形です。フィエールマンは3-4コーナーは馬群の中で、直線向いてから追われ急激な加速でエタリオウに先着。上がり3Fを33.9で抜けた馬が5頭いる決め手勝負のレース、ここで好走したフィエールマンとエタリオウに有馬特有のラップ適性が有るとは言えません。このレースの結果だけで2頭が有馬記念で好走すると判断するのは疑問が残ります。

 

2019年は当日の他のレースを見ても馬場の状態がそれほど回復せず、母父サドラーズウェルズのサトノルークスが2着に来たように、良ではあるものの力のいる馬場になっていました。そのため、全体時計は2018年に近くなりましたが、ラップを見れば一度も13秒台にならない淀みない流れでラスト4Fも例年に近いラップ。長距離の適性と例年のラップ適性が問われるレースとなりました。ワールドプレミアは好位につけて終始最内を回し直線で抜け出しました。完全にハマった形ではありますが、ある程度長距離への適性とロングスパートへの対応力を測ることができます。ヴェロックスは先行好位から抜け出しを図る予想通りの競馬をしましたが、直線の伸び脚を見るに距離が少し長かったと思われる内容。それでも先行好位からマークされながらも3着には残っているので期待はできそうです。

レースラップの観点からみると、2019年の好走馬2頭は有馬記念でもある程度期待できると考えられます。

 

 

 ・天皇賞春
2018年と2019年のレースラップ

天春1918平均グラフ

2019年は1000m通過が59.2、1000m-2000mが64.2。道中かなりペースが緩み、2018年の菊花賞同様、長距離適性とラップ適性があまり問われないレースとなりました。フィエールマンは2コーナー付近でポジションを上げたのに対し、エタリオウは3 コーナー付近でポジションを上げていきました。直線を向いた時点でフィエールマンとグローリーヴェイズが並んで先頭、これに続いてパフォーマプロミスとエタリオウ、メイショウテッコン、カフジプリンス。エタリオウは伸びずに4着となりました。

フィエールマンとエタリオウの差は道中でポジションを上げた時のラップにあると考えられます。フィエールマンが動いたのは2コーナー付近。ラップは13.8、13.3とかなり緩んだ所で全く消耗せずに押し上げる事ができました。これに対しエタリオウは3コーナー前からで、ラップは12.4、12.5。ペースが上がり始めた時に外を回されて消耗してしまったように思えます。例年程度ペースが流れていればエタリオウにも勝機はあったかもしれません。基礎能力の差はありますが、長距離、ラップ適性はフィエールマンよりエタリオウにあると考えられます。

また、2019年の日経賞でもエタリオウは早めに捲っていき、4コーナー前で一息入る形になりました。結果的には楽に逃げたメイショウテッコンに粘り切られてしまいましたが、この展開でも残す力は見せました。

 

まとめ 
以上から、例年の有馬記念のレースラップへの適性が比較的高いと思われるのが、エタリオウ、ヴェロックス、ワールドプレミア。反対に低いと思われるのがフィエールマン、ということになります。

現在のオッズから考えるとエタリオウは押さえておくと面白いかもしれません。

 

 

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