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2022/4/3明治安田生命J2リーグ第8節 レノファ山口-大宮アルディージャ マッチレビュー

中3日で迎えた3連戦の3試合目。かつてレノファを指揮していた霜田正浩監督率いる大宮をホームに迎えての1戦。巷では「霜ダービー」と言うのだとか。また、3連戦の後ろ2つを移動なしのホームで続けて戦えることは非常にありがたい。
私は今節もDAZNにてリアルタイム観戦。

試合展開振り返り

大宮は霜田正浩監督が率いていることもあって、開幕以降レノファと同様にボールを保持して繋ぐサッカーを志向していた。だが、今節は立ち上がりからそのようなスタイルとは異なり、長いボールを素早く入れて裏を狙うサッカーを展開。そんな大宮のサッカーに序盤レノファは手を焼く。20分には最終ラインからのロングボールに奥抜侃志が抜け出しゴールキーパーと1対1の場面になりかけるが、関憲太郎の見事な飛び出しにより失点を防ぐ。その後は大宮のサッカーに徐々にアジャストしていき、30分過ぎぐらいからはレノファがボールを保持して攻撃を展開する場面が目立つようになってくる。40分には田中渉のクロスに山瀬功治が良い感じに反応するなどゴールに迫るが崩しきれず両チームスコアレスで前半を終える。
ハームタイムにレノファはどこかしら何かを傷めた大槻周平に代わり岸田和人を交代投入。すると、いきなり決定機を迎える。47分に高木大輔がゴール前に投げ入れたロングスローの流れから岸田和人がストライカーらしいプレーでシュートを放ちクロスバーを叩く。直後の49分に大宮がカウンターから最後は走り込んできた三門雄大がシュートを放つ場面を迎えるが、ここはゴールキーパーの関憲太郎が弾き出しゴールを守る。その後は岸田和人投入の交代策が功を奏したのか、前半と似たような展開ながらレノファの攻撃シーンが目立つようになる。63分のクロスのこぼれ球を拾って放った高木大輔のシュートシーンや、64分のコーナーキックで岸田和人が頭で合わすシーンなど立て続けの決定機でゴールに迫る。そんな流れで迎えた71分のレノファのコーナーキック。高木大輔がニアで反らしたボールがゴール前に居た沼田駿也に当たりゴールに吸い込まれレノファが待望の先制点を得る。その後は81分に矢島慎也がシュートを放つなど大宮もゴールへ迫るが、レノファが虎の子の1点を守り切り試合終了を迎える。レノファは第2節 秋田戦以来の勝利で勝ち点3を積み上げた。一方の大宮は、これで開幕からリーグ戦8試合勝ちなしとなった。

雑感

3連戦の3戦目にも関わらずメンバーを大きくいじることなく臨んだ今節。ミッドウィークな行われた前節はかなりタフなゲームをした為、疲労が心配されたが、2試合連続のホームゲームというアドバンテージもあってかそこまで感じられず。
立ち上がりこそスタイルを変えてきた大宮のサッカーに手を焼くが大きなピンチは招かず。試合全体を通して3回ほど大宮の大きなチャンスシーンがあったものの、関憲太郎を中心に守りきってこれで3試合連続となるクリンシートを達成。守備陣は本当によく頑張った。一方の攻撃陣も決定機なかなか決めきれずにいたがコーナーキックの流れからゴールを奪った。ということで結果的にウノゼロで勝って待望の勝ち点3を獲得。開幕以降ここまでJ2で最も苦しんでいる大宮が相手だっただけに1得点留まったことは物足りなさを感じるが…。とはいえ、ここで最下位に沈む大宮相手に勝ち点3という結果を残せたことは非常に大きい。複数得点だったり流れからの得点だったりよりも、今節レノファに求められたことは3ポイントという結果だっただろうし。というか、もしもここで勝てなければ、最悪の場合、大宮の今シーズン初勝利を献上なんかしていたらレノファが前節、前々節と苦労した頑張りは何だったんや…という感じになりかねなかった。もっと言うと、ここで勝てなければレノファの今シーズンが昨シーズンみたいな苦しい戦いにズルズル巻き込まれて行く分水嶺になったような気がする。まだまだシーズンは長いので今節勝ったというだけで慢心するのは良くないが、これでメンタル的にはかなり良い感じで次節以降を迎えられるのでは。仙台、ヴェルディと強敵との対戦が続く次節以降がとても楽しみだ。この2試合で勝ち点4以上取れれば今シーズンのレノファはプレーオフ争いぐらいの夢を見れるかもしれない。何はともあれ、残留への1つのボーダーラインとされる(たぶん)開幕10試合で勝ち点10は無事クリアできたので一安心だ。
一方の大宮はこれで開幕後8試合勝ちなし。霜田正浩監督の進退が案じられる状況だが、大宮の強化部長曰く霜田体制をまだ継続するようだ。

とはいえ、フロントが現監督の続投を明言した直後に解任というケースはサッカー界では往々にしてある。開幕10試合を目処にその辺の判断を下すかもしれない。もしくは解任には至らなくても霜田監督の方から責任を取って辞任というケースもあるかも。前節のマッチレビューでも書いたように、霜田監督にはレノファを率いていた頃、サポーターとして多くの(柏とか横浜FCのアウェイ遠征に行って大量失点で負けた思い出も含めて)楽しい時間を提供してくれたし、他チームであってもJリーグの監督としてチームのタクトを振るう姿を見続けたいと思っている。なかなか大変ではあるだろうが、是非ともここから立て直して次は大宮のNACK5スタジアムで霜田アルディージャとレノファが対戦したいものである。

レノファのスタメンとフォーメーション

3連戦の3戦目にも関わらず、レノファはミッドウイークに行われた前節のスタメンを1人入れ替わるに留める。インサイドハーフの神垣陸に代わり山瀬功治をスタメン起用。レノファはターンオーバーしないのか、はたまた選手層的にターンオーバーできないのか。対する大宮は前節からスタメン5人を入れ替えてきた模様。かつてレノファでキャプテンも務め、最近ではピッチ外でも話題を提供している三幸秀稔もこの日はベンチスタートだった。

各選手の寸評・採点

※採点は10点満点で6点を及第点として0.5点刻みで実施
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし
※採点対象はレノファの出場選手のみ

FW
大槻 周平:5 (HT out)
前節同様、クロスなどになかなか合わずボールに絡む機会が少なかった。試合後の名塚善寛監督のインタビューによると、前半の最初らへんに何かしら負傷したらしく大事を取ってハーフタイムで交代となった。大きなケガでなければ良いが。

沼田 駿也:6.5
71分に生まれた今シーズン3得点目はまたまたセットプレーの流れでゴール前の良い位置に居たところにボールがやってゴールという形。今節の得点シーンに関しては高木大輔がニアで触ったボールがたまたま沼田に当たったという感じだが、その辺含めてゴールへの嗅覚の鋭さということなのだろう。得点シーン以外にもチーム内最多タイとなる4本(うち枠内2本)のシュートを放つなどチャンスシーンを作った。特に、カットインやドリブルからシュートに持ち込んだ55分、61分のシーンなんかは彼の真骨頂という感じだろう。63分の岸田和人を狙った弾道の低いクロスなんかも良かった。

高木 大輔:7
【個人的MAN OF THE MATCH】

右サイドの22%に対して左サイド58%というアタッキングサイドからも明らかなようにレノファはいつも通り左サイドに重心のかかった攻撃スタイルだった中、橋本健人と並んでチーム内最多となる5本のクロスを供給するなど右サイドからも攻撃シーンを作った。そして、コーナーキックから生まれた71分の得点シーンは第5節 大分戦と同様に大輔がニアでちょっと触って反らしている。ということで1アシストをマーク。セットプレーでは高さと迫力のある渡部博文、ヘナン、眞鍋旭輝、大槻周平辺りにどうしても目が行くが、実は大輔の存在がかなり大きいのでは。その他にも決定機となった岸田和人のクロスバーを叩くシュートへと繋がる47分のロングスローや63分に沼田駿也が供給した低弾道クロスのこぼれ球を拾ってシュートを放ったシートなど、決定機を演出した。そして、最終盤の90+4分のパスカットなど最後までチームの為によく走っていた。あとはゴールという結果のみだ。

MF
田中 渉:5.5
40分の山瀬功治を狙ったクロスはなかなか良かった。また、24分と79分には佐藤謙介と同様にこぼれ球を拾ってミドルシュートを打つなど曖昧にしないプレーは良かった。とはいえ、中盤はやはり佐藤謙介の存在感が大き過ぎる為か、目立つシーンは多くなかった。
なお、次節は仙台からの期限付き移籍契約の関係で欠場が確定している。英気を養って次々節以降に臨んで欲しいところだ。

山瀬 功治:6 (64分 out)
第3節 新潟戦以来となるスタメン出場。8分、24分と見られたボール奪取などプレスを頑張っていた。49分の三門雄大にシュートを打たれたシーンも、その直前の場面で奥抜侃志に走り負けずに何とか対応し、致命的なミスには至らなかった。そして、レノファにとって前半最大のチャンスとなった40分のシーンではシュートまで持っていけなかったものの田中渉のクロスに良い感じに反応した。40歳という年齢を考慮すれば上出来だろう。

佐藤 謙介:6.5 (87分 out)
今節も攻撃のスイッチを入れるようなパスを多く供給。それに加えて、4分、9分、22分、49分と積極的にミドルシュートを放つなどゴールへの意識の高さも見られた。レノファ加入時の横浜FC方面からの情報によると、謙介は時折スーパーなゴールを決めるらしいので、レノファでもサポーターを大興奮させるようなゴールを是非とも見せて欲しい。また、今回の3連戦全てでアンカーとして80分以上出場。ケガがちだった昨シーズンを思うと、とてもよくやったと思う。

DF
橋本 健人:6.5
チーム内最多となる87本のパス、5本のクロス供給など今節もレノファの重要なキーとして躍動。中に侵入してボールを受け相手のプレッシャーにも屈せず右サイドの高木大輔にパスを出した9分のシーンや、時間を使うクレバーなプレーを見せた90+1分のシーンなど毎度のことながらサッカー技術の高さが光った。左サイドの橋本沼田ラインは本日も平常運転。

石川 啓人:6 (90+3分 out)
今節はレノファの攻撃が左サイド偏重だったことに加えて、大宮も左サイドでの攻撃が多かったこともあり、前節ほど攻撃参加することはなかった。とはいえ、キッカーを務めたコーナーキックでは良い感じのボールを蹴りこみ64分の決定機や71分の得点シーンを演出。守備面ではセットプレーの流れからカウンターになりかけたところでボールカットを行った16分のシーンなどナイスな対応も見られた。また、前半終了間際に足首を傷めるシーンがあったが、特に問題は見られなかったようで試合終了間際までプレー。取り敢えず安心して良いだろうか。

渡部 博文:6.5
今節は相方のヘナンに負けじと持ち味のパス供給を頑張り、橋本健人とヘナンに次いでチーム内で3番目の多さとなる71本のパスを記録。また、開始早々の3分にはこぼれ球を拾って遠めの位置から思い切ってシュートを放つなどゴールへの意識も見られた。そして何より今節は30分、60分、68分など守備での良い対応が光った。特に佐藤謙介のボールロストから柴山昌也にボックス内の侵入を許した68分のシーンなんかは対応次第では普通に危ない場面になっていたと思う。そんな良い守備対応もありレノファは3試合連続となるクリーンシートを達成。センターバックに渡部博文が君臨する安心感たるや。

ヘナン:6
橋本健人に次ぐ82本のパスを供給するなど今節も持ち味を発揮。また、47分のロングスローからの流れのシーンではヘナンの空中戦勝利によって岸田和人の決定機となるシュートが生まれた。

GK
関 憲太郎:7
20分の奥抜侃志が抜け出したシーン、49分の三門雄大のシュートシーン、81分の矢島慎也のシュートシーンなどレノファが迎えた危ないシーンを最後のところで守る相変わらずの活躍。特に20分のシーンは持ち前の飛び出しで1対1になりかけたピンチを回避。結果的にウノゼロで終わったことを考えると、レノファのキーパーが関憲太郎じゃなければ今節勝ち点3を得られなかったかもしれない。

交代出場
FW

岸田 和人:6.5 (HT in)
負傷した大槻周平に代わり後半のスタートから出場。短いプレータイムに終わった前節は見せ場を作れなかったが、今節は47分のロングスローの流れからシュートを放ったシーンや、64分のコーナーキックに頭で合わせたシーンなどストライカーらしくゴールに迫る場面を演出。特に前者に関してはストライカーらしいシュートを放ってクロスバーを叩くという非常に惜しいシーンだった。結果は残せなかったが、プレーの内容としては非常に良かったと思う。

MF
神垣 陸:5.5 (64分 in)
直近2試合はスタメンで出場したが、連戦の影響も考慮されたのか今節はベンチスタート。岸田和人ともに最終ラインへのプレスを頑張った85分のシーンなんかが印象的だった。

佐藤 健太郎:採点なし (87分 in)
アンカーとして3連戦を頑張った佐藤謙介に代わってクローザー的な役割も担って投入。90+2分の髙田楓也の魅力的なドリブルにも良い対応を見せるなどレノファの逃げ切りに貢献。

DF
眞鍋 旭輝:採点なし (90+3分 in)
最終盤に投入。プレータイム的に見せ場はなかったものの、勝っている場面で余裕持って交代カードを切れることは良いことだ。

個人的印象に残ったシーン

今節個人的に印象に残ったシーンは、やはり47分のロングスローの流れから岸田和人がかっこよくシュートを放ちクロスバーを叩いたシーンだ。非常に惜しかった。あれが入っていれば岸田としてもレノファでのかなりの久しぶりのゴールになったし、ホームの維新みらいふスタジアムに駆けつけたレノファサポーターは大盛り上がりだっただろう。DAZNで観ていた私も大絶叫していただろうし、下手するとなんちゃらフリークスでお馴染みなどこぞのミラニスタみたいに興奮のあまり足を骨折していたかもしれない。岸田本人としてもセンターフォワードの序列的に(恐らく)厳しい立場にある中、梅木翼が離脱中&大槻周平の負傷という状況で巡って来た長いプレータイムだっただけに決めたかったシーンだろう。名塚善寛監督も試合後のインタビューで「あれを入れてくれればもっと楽になった」と仰ったように結果が欲しかったところ。とはいえ、こうやって起用している通り名塚善寛監督的にも岸田が構想外という感じではなさそうで、まだまだチャンスは与えられそう。岸田のゴールをレノファサポーターは待ちわびている。



ヘッダー画像はレノファ山口FC公式ホームページより

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