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翻訳の妙(Jul/16/2024)

 画像は何も関係ないラーメン

最近、翻訳に対して「素敵だ~!!」と叫ぶ機会が増えている。

 翻訳は簡単なようで非常に難しい。例えば論文のような文学性を求められない文章であれば単語to単語を正確に置き換え、文法的に整えることで問題なく訳が完成する。この場合は機械と人間の翻訳で結果に大きな差は生まれないと思う。
 ところが、文学性の高い文章、特に作品のタイトルなどは単語to単語の訳では物足りない。裏にあるニュアンスや雰囲気をくみ取り、どうにか訳に表出させる必要がある。

 ここからは個人的に最近刺さった訳をピックアップしていきたい。

『しかのこのこのここしたんたん』→『My DEER Friend Nokotan』

 これは最近見た中でもなかなか「ええやん」となった訳です。
 アニメ(マンガ)のタイトルですね。仮に自分がこれを訳そうと思ったら登場キャラクター的にもどうにか「鹿」要素と「虎」要素を入れようとしてちぐはぐした訳にしてしまうと思います。「虎」を思い切って切りつつ「鹿」を完全に拾って作品の雰囲気の確信に近いMy Dear Friendをもじるという全体のおさまりの良さには舌を巻きました。

『For Whom the Bell Tolls』→『誰がために鐘は鳴る』

 最近読み始めた小説から一本。名作小説ですが改めてきれいな訳ですね。
 スペイン内戦を舞台にしたかなり古い小説ですがそれを加味してもタイトルの英語はかなり古臭い、お堅いイメージを与える英語になっています。その雰囲気を完全に拾ったお堅さを残した日本語訳は感嘆しました。

Skyscraper → 摩天楼

 最近始めて知ってマジでその場で叫んだ訳です。
 登場人物全員のセンスがいい。まずマンハッタンの空を突くように林立するビルディングをみてSkyscraper(空を切り剥がすもの(意訳))と呼んだ人間がいるという事実がしんどい。
 更にSkyscraperという単語をみて「天を摩する楼閣」と解釈した現地の日本人もセンスが良い。調べたら誰がそんな風に呼んだのかは明確でないけど今からでも会いに行って握手したい。もう死んでるか
 本当にきれいすぎて見た瞬間に叫んで家族全員に共有したのですが自分以外冷めた反応すぎて驚きました。かなしい

 こういう翻訳の妙を共有できるような人がたくさんいる場所でオタク笑いを浮かべたいという願望だけを持って生きています。
 それでは、次回は「刺さった俳句」編でお会いしましょう……(未定)


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