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宮杉江美さん つつましやかに謙虚に、そして古都の誇りを忘れずに

国内外からやってくる多くの観光客を魅了する古都、京都。その京都らしいお食事、おばんざいを味わうことができる宿「二条宿」を切り盛りする女将が宮杉江美さんです。宮杉江美さんは京都生まれの京都育ち。京ことばの「はんなり」はこういう人のことをいうのだろうという雰囲気を持った方です。宮杉江美さんの経営理念について探ってみました。


宮杉江美さんの人物像を探る

まずは宮杉江美さんの経歴を見てみましょう。宮杉江美さんは1962年3月7日生まれ、京都市右京区出身です。地元の高校を卒業後、18歳で市内の旅館で働き始めます。「京都という町が好きで、自分が好きな京都に来てくれる人たちに京都を好きになってもらいたいし、京都が好きな人にはもっと好きになってもらいたい、そういう気持ちでこの世界に入ったんです」(宮杉江美さん)。

宮杉江美さんが生まれ育った京都市右京区

宮杉江美
宮杉江美さんが生まれ育った右京区には嵐山があります

京都市の西北部にある右京区。宮杉江美さんが生まれ育った右京区には嵯峨・嵐山という京都の代表的な景勝地があります。北部のほとんどは森林で、緑がたくさんの山々と桂川の流れなど、豊かな自然にめぐまれています。秋の紅葉のシーズンになると県外から多くの人が観光に訪れます。「観光に関わる仕事がしたい、と思ったのは京都の自然を楽しんでいる姿を、子どものころからずっと見てきたから、ですね」(宮杉江美さん)。

38歳で独立、開業した宮杉江美さん

宮杉江美さんは20年間勤務したのち、2000年9月、38歳で独立します。現在の飲食店併設の旅館、おばんざいと宿「二条宿」です。

宮杉江美さんの旅館があるのは、世界遺産である二条城と大宮のちょうど中間で、旅の拠点として非常に好立地なエリア。女将であり、京都で生まれ育った宮杉江美さんの伝統的な京料理である「おばんざい」と、四季を感じる客室が自慢の旅館です。仲居さんは女将が昔からよく知っている気心が知れた3名。仲居さんの一人は宮杉江美さんを「京都人らしい人」と評します。はんなりという京ことばがあります。みなさんよく聞かれることばだと思います。「上品さと気品さを兼ね備えている上、明るくて華やかな様子、なのですが、まさにこの言葉がぴったりじゃないか」、といいます。

宮杉江美さんがかかげる経営理念

宮杉江美
宮杉江美さん「つつましやかに謙虚に 古都の誇りを忘れずに」

宮杉江美さんは経営理念として「つつましやかに謙虚に 古都の誇りを忘れずに」を掲げています。

「京都人はしばしば、プライドが高いといわれることも多いです。それは京都人である誇りを持ちすぎて、文化の中心であるというちょっとした慢心があるからではないかなと思います。しかし、大好きな誇るべき京都で素晴らしい体験をしてもらいたいという思いは同じはず。私たちは、そういった誇りは持ちながらも、日本人の謙虚さを忘れずに、常に誠心誠意本物のおもてなしを追求してきました。旅行先での体験は、観光名所を巡るだけではありません。お宿に帰って旅の疲れをいやしていただくことも、立派な観光の一部です。お客さまの素晴らしい京都での体験を彩る一部になれたら幸いです」(宮杉江美さん)。

海外からのお客さまへのニーズに応えて

宮杉江美さんは海外からのお客さまに京都の町をもっと楽しんでもらおうと考え、京友禅のレンタル業をスタートさせています。京友禅は京都の伝統的な布の染め方の一つで、非常に高度な職人の技術を必要としており、価格もそれ相応。「着物や浴衣のレンタルは割とどこでもあるかと思うのですが、やはり本物を知ってもらいたいと思うのです。しかし京友禅を気軽にお土産で購入するというわけにはいかないでしょう。レンタルであれば気軽に利用できるのではないでしょうか。おかげさまで好評です」(宮杉江美さん)。

宮杉江美さんのおばんざい

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旬の京野菜など季節の食材を使ったおばんざいは宮杉江美さんが子供のころは親しんだ味

おばんざいは旬の京野菜など季節の食材を使い、食材で無駄がでないように工夫した京都の家庭料理です。その味やレシピは祖母から母へ、母から娘へ、また姑から嫁へと、京都の家庭で受け継がれているものです。宮杉江美さんは「当たり前のように子供のころから食べてきた、慣れ親しんだ味です。京都の家庭に受け継がれてきた食文化ですね」とおばんざいについて語ります。「シンプルな味付けですが、毎日食べても飽きることがないんですよ」(宮杉江美さん)。

旬の京野菜を楽しんで欲しい-宮杉江美さん

おばんざいの特徴は旬の京都の野菜を使うところにあります。京都の野菜で代表的なものを挙げると、京みず菜、京壬生菜、九条ねぎ、万願寺とうがらし、えびいも、聖護院かぶ、聖護院だいこん、くわい、賀茂なすなど。「おばんざいは特別な料理ではないんです。わたくしたちは子どものころから普通に食べてきた料理で、きょうはおばんざいを食べよう、みたいなものではないんです。京野菜も昔から身近なものでしたし。家庭の味ですね。わたしたちが親しんできた京都の家庭の味をみなさまにも楽しんでいただければ、そしてお食事からも京都を感じてもらえればと思います」(宮杉江美さん)。

まとめ

京都で生まれ育った宮杉江美さん。宮杉江美さんは京都をもっと好きになってもらいたいといいます。「国内はもとより、世界中からいらっしゃるお客さまにまた京都に来たい、何度でも来たい、そう思ってもらえるよう、わたくしどもは最上のサービスを提供していたい、そう考えております」(宮杉江美さん)。

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