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2-4.IPO時に時価総額100億円超を目指そう!~種類株の資本政策
実際に種類株を活用した資本政策を見てみましょう。
1. 普通株の出資ではベンチャーキャピタル(VC)に議決権の過半数を取得されてしまう。
A社は今年の6月にB氏が中心となり、創業メンバーが各自出資して、1000万円で会社を設立する予定です。A社は独創的なビジネスモデルで4年後には売上高100億円、税引後当期純利益10億円でIPOする事業計画を持っています。一方で、そのビジネスを立ち上げるためにはシステム開発費等で約1億円の資金が必要です。当然、設立間もない会社に1億円を融資する金融機関はなく、創業メンバーはVCに第三者割当増資の依頼をすることになりますが、まだほとんど実績のない資本金1000万円の会社に、普通株で1億円出資すれば、株価が小さいため、VCが過半数を取得することになり、創業メンバーは経営の舵取りが難しくなり、VCも過半数を取得することは本意ではありません。
2. 調達額と株数から逆算して株価を決める。
種類株はどの様な権利を付与するかによって、通常の企業価値評価(バリュエーション)とは異なる株価を設定することが可能です。先ずは調達する金額を1億円と決めたら、1億円出資しても創業者メンバー合計で過半数を確保出来る様に、先に割当株数を決めてしまうのです。このケースの場合は創業者メンバー2000株に対して、VCに1100株を割り当て、VCには35.5%と3分の1超を保有してもらいます。この場合、VCには1100株で1.1億円出資してもらうので、株価は10万円となります。
よほど事業が上手く立ち上がらない限り、半年で株価が5000円から10万円にはならないので、VCの保有する株式に様々な権利を付与することで、この株式の価値を10万円にしようということです。その種類株に残余財産分配権や、取得請求権、取締役指名権など権利を付与することになります。
3. 種類株を活用する場合の注意点
① IPO時に時価総額100億円以上になるようなビジネスモデル
当然ながらVCは種類株が様々な権利を付与されているとは言え、IPO時までに1倍で普通株に転換しなければならないことを考えると、かなり高い株価で取得していることは事実です。(このケースは普通株の20倍)よって、投資のリターンもそれなりにハードルが高いことになります。IPO時には時価総額100億円以上になることが一つの目安かもしれません。
② 先ずは種類株の仕組みをよく勉強すること、そしてVCとの信頼関係を大切に
返さなくてよい1億円を調達出来て、更に経営権は維持出来る。会社にとっては非常に有難い種類株かもしれません。但し、取得請求権、取締役選解任権など、それなりに経営判断に大きな影響を与える権利なども含まれるため、先ずは種類株をしっかりと勉強することをお勧めします。自分で理解出来ない場合、種類株は使わないほうが無難です。またVCとの投資契約書にはIPOの目標時期などが記載されているものもありますが、上場時期についてはVCとよく話し合い、信頼関係を構築していくことが大事です。
(次回は内部統制)