ごめんなさい神様、僕変わるから。

 僕はいつも、失いそうになってからしか大切なモノに気付けない。

 気に入って買ったはずの物も、失くした時に初めて不便さに気付く。
 慢心し努力を怠って手に入れられなかったあの機会でも、自分の傲慢さに情けなくなって逃げ出した逃げ道で謙虚さを無くした愚かな自分に気付く。
 終いには、去り行く後ろ姿を見て貴方の大切さに気付いた。いいや、本当は自分が貴方を大切にしなかったことに気付いたのかもしれない。

 僕を見て隣で微笑んでいた貴方の顔が思い出せない。


 机を挟んで対面にいる君が勇気を振り絞って、小刻みに震えながら別れ話を切り出した時、溢れ出す涙を拭いてやりたかった。強く抱きしめて一言「ごめん。」と謝りたかった。
 「僕は大切な物が何も見えてないなかった。本当に大切なのは君だけなんだ。」と無駄なプライドを捨て君の目を見て言えていたら。何か変わっていたかな。

 君がもう覚悟を決めて、僕のいない未来に歩みを進め始めた時、やっと僕は自分の愚かさに気付いた。遅すぎたかな。遅すぎたよな。


 ごめんなさい神様、僕変わるから。
 やっと気付いたから。
 他には何もいらない。
 ちゃんと改心するから。

 僕からあの子を取り上げないで。

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