韓国語をローマ字表記するための新しい方法『ʻEdkŭka』
(2023/06/21)新しいバージョンを公開しています https://note.com/j9a/n/nc9f3037f128e
以前の記事で、韓国語の伝統的な表記法は発音以外の情報を含んでいるため、発音だけを表記することにすれば文字を大幅に少なくすることができる、ということを書きました。
リンク先の記事における私の主張は、言語学的に分析すれば、韓国語には子音が10種類、母音が4種類、グライド(半母音)が2種類あり、グライドのうちの1種類は条件によって子音のように働く、というものです。
この分析を採用すると、韓国語のローマ字表記もそれなりに文字数を減らすことができますが、実際にそのように文字数を減らして、発音表記に特化したローマ字体系が、上掲の ʻEdkŭka (「ハングゴ」と読みます)です。
あの有名な(?)トンデムンヨッサムンファゴンウォン(동대문역사문화공원)も、一般的に使われている文化観光部2000年式では以下のように非常に長くなりますが、
dongdaemun yeoksa munhwa gongwon
ʻEdkŭka ではこんなに短くなります。
togtèbŭd áʻse bŭdgĕ kogăd
なお、トンデムンヨッサムンファゴンウォンとは、韓国にある「東大門歴史文化公園」という地下鉄の駅の名前です。
トンデムンヨッサムンファゴンウォンにおける、2000年式と ʻEdkŭka の対応は以下の通りです。
2000年式 :: ʻEdkŭka
d :: t
o :: o
ng :: g
ae :: è
m :: b
u :: ŭ
n :: d
yeo :: á
ks :: ʻs
a :: e
nh :: dg
wa :: ĕ
g :: k
wo :: ă
ʻEdkŭka の便利なところは、表記と発音がぴったり対応しているということです。ハングルは非常に複雑なシステムなので、どの表記とどの表記が同じ発音で、どれとどれが違う発音なのかを覚えるのが大変ですが、ʻEdkŭka では、表記が違えば必ず発音が違い、同じなら必ず同じです。
特に、以下の10子音字を最大2文字組み合わせた発音以外は韓国語の子音クラスタには存在しないという事実は、韓国語の発音の仕組みを理解するために、学習者にとっては便利なのではないでしょうか。
b, d, z, g, p, t, c, k, s, ʻ
ʻEdkŭka についてより詳しくは、冒頭のPDFを、また背景にある言語学的な分析については、先述の note の記事をご参照ください。
ʻEdkŭka は以前からTwitterで公開していたものですが、最近編集することが少なくなっていたので、note 更新のペースを崩さないためにここに投稿することにしました。