東京方言の「昨日類」(アクセントと音節の関係)

この記事では、東京方言のアクセントを理解するために重要な「昨日類」と呼ばれる語群について説明します。「昨日類」という便利な名称はわっしーさんが付けてくれました。

本記事を読み進めていただく前に、前提として、東京方言アクセントの基本的な仕組みについて説明した次の記事をご覧ください。通説とは異なる分析であり、本記事の前提となるものなので、すでに詳しい方もご一読ください。

本文に入れることができなかったややこしい話は「補遺」として最後にまとめてあります。

「昨日」のピッチ形の奇妙な交替現象

東京方言における「昨日」には次の不思議なピッチ形の交替現象があることが従来知られています。

  • 昨日何した? キノーナシタ

  • 昨日は雨だった。 キノーワメダッタ

上掲の記事と同様、太字にしているところが nF, そうでないところが F の部分です。

「昨日何した?」では、「昨日」全体が nF 区間になっていますが、「昨日は雨だった」では、「昨日」(キノー)のうち「キノ」の部分だけが nF になっています。

単に nF 区間の最後のモーラの直前にアクセントがあると考えると、それぞれ次のような形をしていることになります。縦線はアクセントの「効き」の左限を示しています。

  • キノˈー | ˈナニ | シˈタ

  • キˈノーワ | ˈアメダッタ

明らかなように、両者で「昨日」という言葉の形が異なっています。

では、キノˈー と キˈノー、どちらが「本来の」形なのでしょうか?

名詞につく「の」がもつ不思議な力

少しの間「昨日」から離れますが、話を進めるために必要なのでお付き合いください。

アクセントを持たない「小さな言葉」が名詞につくと、普通は次のように、名詞が持っていたアクセントの位置を変えずに、ただただ言葉の長さだけが延長され、それに伴って F 区間だけが延長されます。

  • 子供です コドモˈ + デス → コドモˈデス

  • 男です オトˈコ + デス → オトˈコデス

  • あなたです アˈナタ + デス → アˈナタデス

  • 落ち葉デス ˈオチバ + デス → ˈオチバデス

このように、「です」は、どの言葉につけた場合でも、アクセントの位置を移動させることはありません。

ところが、「の」の場合はこの法則が破られます。

  • 子供の コドモˈ + ノ → コドモˈノ

  • 男の オトˈコ + ノ → オトコˈノ ❗️

  • あなたの アˈナタ + ノ → アˈナタノ

  • 落ち葉の ˈオチバ + ノ → ˈオチバノ

びっくりマークをつけた「男の」は、ピッチ形が「子供の」と同じになっています。

実は、これは名詞につく「の」の効果で、次のように、アクセントが最終モーラの直前にある名詞に規則的に見られる現象です。

  • 山の ヤˈマ + ノ → ヤマˈノ

  • 花の ハˈナ + ノ → ハナˈノ

  • 川の カˈワ + ノ → カワˈノ

  • 心の ココˈロ + ノ → ココロˈノ

  • 頭の アタˈマ + ノ → アタマˈノ

  • 女の オンˈナ + ノ → オンナˈノ

いずれの場合でも、元々は名詞の最後のモーラの直前にあったアクセントが、「の」の直前にまで移動しているように見えます。

このことを他の名詞にも適用できるようにルールとして書くと、以下のように表現できます:

名詞に「の」がついた時のアクセントの特別ルール:

◯…ˈ◯ + の → ◯…◯ˈノ
 
※「◯」は1モーラを表し、「…」はモーラとモーラの間にある0モーラ以上のモーラの連続を表します。

「特別ルール」についてもう少し:
ここで扱った「の」の特別ルールは、1モーラ名詞には適用されません。例えば「絵の」は ˈエノ と発音されます。

「昨日の」のピッチ形は?

「の」の特別ルールが得られたので、このルールを使って、アクセントを「逆算」することができます。

もし、「昨日」の本来の形が キˈノー であれば、「の」の特別ルールには当てはまらないので、「あなたの」(アˈナタ + ノ → アˈナタノ)と同じように、キˈノーノという形が得られるはずです。

逆に、もし「昨日」の本来の形が キノˈー であれば、「の」の特別ルールによって、「男の」(オトˈコ + ノ → オトコˈノ)と同じように、キノーˈノ という形が得られるはずです。

つまり次のようになります:

  1. もし キˈノー なら、キˈノーノ

  2. もし キノˈー なら、キノーˈノ

実際の東京方言では果たしてどちらかといえば、2 が正解です。「昨日の」は キノーˈノ のように発音されます。

このことから、「昨日」の本来の形は、キノˈー であると考えられます。

でも、もし本当に「昨日」が キノˈー であるなら、どうして「は」などのアクセントを持たない言葉が続いたときは キˈノー のように発音されるのでしょうか? なぜ、常に キノˈー ではいけないのでしょうか?

アクセントと長音の関係

キノー の長音の部分がポイントです。実は、長音で終わる単語で、「は」などがついた場合にピッチ形が長音後部(つまり「ー」の部分)の直前にアクセントがあるような形になる単語は、探しても探しても見つからないのです。

どういうことでしょうか? 例えば、次のような形は、他のたくさんの単語を調べてみつかる傾向からすると「あり得ない」ということです。以下は、名詞に「は」がついた形として「あり得ない」と考えられる形を例示したものです:

  • パワˈーワ 🙅‍♀️

  • カトˈーワ 🙅‍♀️

  • ムˈーワ 🙅‍♀️

  • トロフィˈーワ 🙅‍♀️

  • スタˈーワ 🙅‍♀️

  • トーキョˈーワ 🙅‍♀️

従って、キノˈー に「は」などのアクセントのない言葉が続くと、形が キˈノー になるのは、「キノˈーワ が禁止されているから」だと予想できます。

そして、実際に現れる形が キˈノーワ であるということから、次のようなルールがあると予想できます。

長音の特別ルール(予想):

◯…◯ˈー◯ → ◯…ˈ◯ー◯
 
※「◯」は1モーラを表す。 「…」は◯と◯の間の0モーラ以上のモーラの列を表す。「ー」は長音後部を表す。

「昨日」以外には?

もし、長音の特別ルールが本当に存在するなら、長音で終わる単語の中には「昨日」と同じようなピッチ形の交替を示すものが他にもあるはずです。もし、そういう単語が存在しなければ、これは「長音の特別ルール」ではなく、「「昨日」の特別ルール」だということになります。

実際には、長音で終わる単語のうち、「昨日」と同じ振る舞いを示すものは、以下のものがあります。

  • 向こう

  • そう

  • こう

  • ああ

これらは以下のように「昨日」と同様のアクセントの交替を示します。なお、「そう」「こう」「ああ」については名詞につく「の」が接続せず、また、「向こう」には副詞的用法がありません。

  • 向こう + の → ムコーˈノ ~ 向こう + は → ムˈコーワ

  • そう + する → ソˈー | スˈル ~ そう + は → ˈソーワ

  • こう + する → コˈー | スˈル ~ こう + は → ˈコーワ

  • ああ + する → アˈー | スˈル ~ ああ + は → ˈソーワ

これらの振る舞いを見ても、やはり「長音の特別ルール」は、「昨日」だけに特別なものではないことがわかります。

本当に長音だけ?

実は、「昨日」とよく似たピッチ形の交替を示すのは、末尾が長音のものだけではありません。次のようにたくさんの例があります。

  • 日本

  • たくさん

  • だいたい

  • おととい

  • 暗い

  • 薄い

  • 重い

それぞれ、以下のように、後続する言葉の種類によってアクセントの見かけの位置が左右にずれます。

  • 日本 + は → ニˈホンワ ~ 日本 + ノ → ニホンˈノ

  • たくさん + は → タクˈサンワ ~ たくさん + 食べた → タクサˈン | ˈタベタ

  • だいたい + は → ダイˈタイワ ~ だいたい + 終わった → ダイタˈイ | オワッˈタ

  • おととい + は → オトˈトイワ ~ おととい + 行った → オトトˈイ | イッˈタ

  • 暗い + から → クˈライカラ ~ 暗い + 道 → クラˈイ | ミチˈ 

  • 薄い + から → ウˈスイカラ ~ 薄い + 氷 → ウスˈイ | コオリˈ 

  • 重い + から → オˈモイカラ ~ 重い + 想い → オモˈイ | オˈモイ

これらの言葉の最後の2モーラをとってみると、すぐに共通した特徴があることがわかります。

  • ホン

  • サン

  • タン

  • タイ

  • トイ

  • ライ

  • スイ

  • モイ

これらは全て「一息で発音される音」です。

(「日本」や「たくさん」など、上のリストの言葉をさまざまな速さ、さまざまな言い方で、さまざまな文の中で発音してみてください。言葉を話すときには、息はずっと同じように出続けているのではなく、まとまりのある「息のボール」が次々に口から吐き出されているということが感じられると思います。そして、ここで取り上げた「最後の2モーラ」が、二つではなく、一個の息のボールで発音されることを確かめてみてください。)

そして、長音もまた「一息で発音される音」です。

ここから、「もしかしたら、長音の特別ルールは、ほんとうは長音だけに特別なものではなく、「一息で発音される音」に平等に適用されるルールなのではないか?」と考えてみます。

面倒な議論は割愛しますが、この「一息で発音される音」というのは、言語学で言われる「音節」にほぼ相当すると考えられます。音節は、モーラと同じように、言葉を構成する、長さと内部構造がある単位です。音節はモーラよりも上位の単位で、全ての音節は最低一つのモーラをその内部に含んでいます。また、全てのモーラは必ずいずれかの音節に属します。そして、今回扱っているような2モーラの音節は「重音節」と呼ばれるので、「長音の特別ルール」を「重音節のルール」として以下のように書き直してみます。

重音節のルール

…{◯ˈ◯}{…◯} → …{ˈ◯◯}{…◯} 
 
※「◯」は1モーラを表す。「…」は0モーラ以上のモーラの連続を表す。{ } で括られた領域は一つの音節である。

「昨日類」の定義

ここまで見てきたことから、「昨日類」は以下のように定義することができます。

東京方言における「昨日類」とは、アクセントを持つ言葉のうち、その末尾が重音節であって、かつ、アクセントを最終モーラの直前に持つものをいう。

平板形容詞は昨日類

記事の冒頭に掲載したわっしーさんのツイートをもう一度掲載します。

ここで述べられている「平板形容詞」というのは、先ほども取り上げた「薄い」「暗い」「重い」などのように、最終モーラ「い」の直前にアクセントがある形容詞のことです。

「平板」というのは日本語アクセントの伝統的な分類で、段階声調に基づいて、端的に言えば「HLを含まない」ということを指しています。(厳密ではありませんが、形容詞のイ形についてだけ考えるときはこれで問題ありません。)「平板形容詞」というのは、形容詞をアクセントに従って大きく二つに分類したうちの一つのグループです。

つまり、「薄い」「暗い」「重い」のような形容詞は、大きな「平板形容詞」というグループに属しているということです。このグループには、他には、「赤い」「甘い」「優しい」など多数あります。そして、これらは原則として昨日類です。

従って、「から」などのようにアクセントを持たない言葉が続けば最終モーラが F になり、「部屋」などのようにアクセントを持つ言葉が続けば最終モーラが nF になります。

これは先の「重音節のルール」に従っているだけであり、非常に規則的です。同時に、「重音節のルール」や「昨日類」というアイデアがなければ、把握するのが少し難しくなることでもあります。

形容詞は、活用があるグループなので、このようにアクセントをシンプルに捉えることができなければ、活用表を書くのも大変になってしまいます。

「平板形容詞」というグループは、昨日類というアイデアの有用性を端的に示してくれる事例です。

まとめ

教育ローマ字のアクセント理論に基づき、「重音節のルール」を仮定することにより、「昨日」に代表される語末重音節の語のピッチ形の交替を、シンプルかつ一般的に捉えることができます。「昨日」と同様のピッチ形の交替を示す語末重音節の語のグループを「昨日類」と言い、いわゆる平板形容詞もこれに含まれます。平板形容詞を昨日類だと理解することで、形容詞のアクセントは理解しやすくなります。

補遺

補遺なので、難しい用語も気にせずに使います。筆致も少し雑になりますが、ご容赦ください。ご関心のある方に読んでいただければ幸いです。

アクセントが複数ある場合を考慮した「昨日類」の定義

教育ローマ字のアクセント理論では、アクセントは一つの語(これも教育ローマ字の中で定義されますが、適当な言語単位であると考えてください。)のなかにいくつあっても良いことになっています。また、アクセントの効果は、nF がどのモーラに与えられるかを指定することに関するものであって、従来の分析における「下り目」や「アクセント核」とは基本的な機能が異なるものです。

アクセントを下降ではなく非下降に寄与するものであると考えることは、形容詞のアクセントを考える上でも重要です。例えば「寒い」という形容詞のイ形のアクセントを考えるとき、まず saˈmuı という形が考えられます。しかし、「寒く」では ˈsamuku になります。見かけのアクセントの位置が一致しません。ここで、語尾の「い」と「く」がそれぞれ屈折要素であることを思い出すと、次のように簡単に書き直すことができます: ˈsaˈmu·ı ˈsamu·ku. 明らかなように、語尾の「い」と「く」はそれぞれ ˈ(_)·ı ·ku という形をしています。こう考えると語基は ˈsamu で固定することができ、アクセントは活用における難問では全くなくなります。

同様に、平板形容詞についても、「赤い」は語基を akaˈ で固定しておき、ˈ(_)·ı と ·ku は先ほどと同じ形のまま組み合わせれば、正しく aˈkaˈ·ı と akaˈ·ku が得られます。

このように語のなかにアクセントが複数あっても良いことにすると、「昨日類」の定義は次のように変更する必要があります:東京方言における「昨日類」とは、アクセントを持つ語のうち、その末尾が重音節であって、かつ、その最後のアクセントを最終モーラの直前に持つものをいう。

とはいえ、不注意などにより「最後の」を抜かしてしまうことはよくあります。アクセントといえば話題にしている単位の最後のアクセントのことを言っていることが多いです。

昨日類と境界下降との関係

「雪降った」などのように、最後のアクセントが最終モーラの直前にある名詞などに、「を」や「が」などのアクセントを持たない語が続かず、述語が直接続く場合、両語の境界付近に段階的なピッチ下降が生じます。F トーンによるものでないことに注意してください。「雪」は nFnF であり、「降った」は nFQF (Q は促音)なので、下降が生じている部分の近くには F モーラはありません。前後のどちらかのモーラが条件的に F に変化するというわけではありません。どちらも nF のままで下降が生じます。この種の下降を「境界下降」と教育ローマ字では呼んでいます。

「向こう行った」などのように、昨日類の語が同様の環境に置かれると、境界下降の代わりに左側の語の最終モーラが F になります。

境界下降には他にもいくつかの種類があります。次の資料の中に記載があります。

境界下降について

昨日類ではない平板形容詞

  • 遠い

「遠いから」などで確認できます。「遠い」は語基が重音節を含んでおり、超重音節を回避する規則があるとみられます。

促音は長いオンセット

ここで見出した「重音節」のルールに当てはめると、「トキポナってなんですか?」などのケースでは、[tokıpoˈnatte] という見かけ上(表層上)の形が予測されますが、実際には [tokıponatˈte] という形で実現します。これを説明するには、促音は右側の音節に属すと考えるのが簡単です。

次の節で述べる句音調との関係上も、促音は右側の音節に属すものと考える必要があります。(「減った」や「ひっかく」「せっかく」などで、句音調による主要なピッチ上昇が促音のに生じることを確認してください。)

促音は、会話の中で何か長い説明をしているとき、「っていうのは」と言って説明の続きを続ける場合の「って」や、話題になっているものについて狙った雰囲気が出ているという時の「っぽい」(「それっぽい」の意。)などで発話頭に現れることがあるものの、発話末では句末イントネーションと解釈できるものを除けば存在しません。

また、促音は音声上は(調音的に、またおそらく音響的にも)長子音であり、途中に音声的な意味での分節の区切り目を見出すべき証拠を筆者は知りません。

促音とアクセント、および句音調の関係については次の記事でも扱っています。

東京方言における音節

音節は証拠によって仮定される韻律単位であり、約束として定義するものではなく、観察によって明らかになった性質(すなわち、音節を仮定することを動機づけるような種々の証拠同士の関係)について逐次述べていくべきものだと考えています。約束としての定義ではないので、「音節の定義が明確でない」というのは疑似問題にすぎません。(将棋やチェスでは、どの対局で現れるどの場面についても、決着がついているか否かを明らかにできなければなりません。これは将棋とチェスが約束の体系だからです。この場合、「終局しているか否かが明確でない」ことは問題です。一方、ある証拠によって仮定されるものについて、他の証拠と共起するか否かが明確でないとか、そのモノがどこにあるのかがわからないのは、問題ではありません。遠い過去のある時点における月の正確な位置がかわからないとか、月の表面温度が完全にはわからないからと言って、「月の定義が明確でない」という人はいません。月のさまざまなことについて、否定する証拠も肯定する証拠もない場合は、「どちらでも良い」が正解です。)

今までのところ、音節には以下のような性質があると考えています。(これは、「以下の性質が全て同時に満たされるモノが存在する」という予測です。また、これ以外の性質が同時に満たされることを否定するものではありません。音節には他にも述べるべきことが多くあるでしょう。)

  • AP および モーラとの間に厳密階層をなし、両者の中間に位置する韻律単位である

  • 「重音節のルール」が適用される(先述の境界下降との関係も含む)

  • 可能な母音は [a e ı o u aa ee ıı oo uu aı oı uı] であり、他にマージナルなものとして [au ae] が考えられるが、他の組み合わせは不可能である

  • ただし、可能な母音に当てはまる2母音の組み合わせであっても、両者の間に音節境界がある場合もある(分節列だけでは音節が一意に定まらないこと、従って、音節が音韻論上有意味な(弁別的な)単位であることを意味します)

  • 子音としてのコーダは鼻音のみである

  • オンセットは長い場合があり、「促音」と呼ばれるケースがそれである(ただし、句末イントネーションを「促音」と呼ぶ場合は除く)

  • いわゆる句音調は、問題となる AP の第二モーラが含まれる音節の母音部分の第一モーラに主要なピッチ上昇を与える

なお、マージナルであるとした [au] と [ae] は、前者については「ハウスダスト」の句音調が重音節様の特徴を示す(主要なピッチ上昇が「ハ」の部分に与えられる)ことから、また [ae] は、「帰る」と「返す」のアクセントがさもなくば体系から外れてしまうこと、および「帰ります」などで句音調の特徴がやはり重音節様であることから、マージナルながら、存在するものと考えています。

数量語につく「の」

「たくさん」と「だいたい」に「の」をつけると、それぞれ [takuˈsannno] と [daıˈtaıno] となり、名詞につく「の」と特徴が異なることがわかります。「の」のルールの例外であるようにも見えますが、これは「一(いち)」に「の」をつけた場合にもみられ、「数量語」としてまとめることができるものだと考えています。

現在の教育ローマ字では、名詞につく「の」は「名詞」の「屈折語尾」として、数量語につく「の」は特定の統語的位置に現れる、アクセントを持たない「語」として分類されています。

数量語につく「の」については以下の資料の16ページにも記載があります。

詞と語について

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