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何を犠牲にするか
O師匠に憧れまくった僕はO師匠が参加されてる作品を買い漁ります。
どうしても手に入らないアルバムは師匠に直接借りました。
その中で平成ジャズ維新JAMなるアルバムがありまして、小林陽一が当時の若手を集めに集めてでかいセッションをやったライブアルバムです。キングレコードだったと思います。
キングは当時パドルホイールっていうジャズレーベルがあってなかなかなメンツで良い音源を出してましたよね。EVAとかAKBやるけど、こんなこともやってたですよ、キングレコード。
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ちなみに僕が色んな人に敬称をつけないのは深く直接面識がない人でして、そんな知りもしない人にさん付けする気持ちの悪い趣味は僕にはないからです。敬意を込めて呼び捨てしてます。コルトレーンにMr.つけないのと一緒です。
一曲目がフレディハバードのバードライクってブルースなんですが、これのO師匠の演奏がむちゃくちゃかっこいいんです。
コピーしましたよね。
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しかもですよ。多田誠司、山田穣、三木俊雄、原朋直、松島啓之とかまぁすっごい管楽器の中にいて、ギターはO師匠だけなんですけど、客を沸かすわけです。そんなギタリストこの世にいますかね。うまいギタリストって山ほどいますけど、ジャズで客を沸かすほどの華のある人ってそうそういないですよ。
今ではおそらくやらないであろう、親指ウェス奏法も披露してます。
ちなみにこのメンツで絶対いそうなサックス仙人、川嶋哲郎はまだサラリーマンやってるので、いないです。これ笑うとこです。
とにかく結構なテンポなんですよ。
そんな中でまじでバキバキのタイム感で8部音符を弾くO師匠はほんとすごい。
このギターを速く弾く、というのは実はできない人はできないので諦めた方がいいんです。
生まれ持った運動神経に依存します。
O師匠は反復横跳びの都の学生記録を持ってたらしいんで。
僕は早く弾くのは諦めて早いテンポはできるようにしろ、とよく師匠に言われました。
O師匠は今は落ち着いた演奏をしますし、あんまりそういうのはもう人前ではやらないですけど、曲芸みたいになっちゃうのが嫌だそうなので。
でもほんとに速く弾くってことに関しては恐ろしいほどに早く弾けます。レッスンでもたまにふざけてジョージベンソンの真似とかしてくれたんですよ。ダサくなる前のベンソンね。むちゃくちゃ上手いんです。
一回ボーヤでついてったライブでリクエストあってチェロキーやってましたけどまぁ普通に結構なテンポでやりますから。
とにかくジャズってタイムなんです。
スイングっていう驚くほどスピードのあるリズムのなかで、ジャストで8分音符弾けないとジャズになんないんです。
無理に八分音符引こうとしてできなくて、でれっとなっちゃう人いますけどダメです。ギターに特に多い。管楽器はそう言う感覚ではやってません。それがギターでジャズやることの難しさの一つでもあります。タイムが良いって言うのは例え八分音符弾けなかったとしても、シンコペーションの位置とかはずれないですよ。グラントグリーンとかがその好例です。
ぜったいリズムこけないでしょ、グラントグリーン。
僕がジャズができなかった理由の一つ、それが実はこれです。
タイムです。
運動能力も足りなかったし、タイムに対する鋭さも足りなかった。あとは、運動能力、すなわち早く弾くってことを諦めきれなかった事もあります。
ちゃんとそれを諦めて、タイム感を磨けば良かったんですが、無理をしてずいぶん無茶に練習しましたが、できませんでした。
やはり諦めというのは非常に肝心です。
これはサックス仙人K師匠がよくレッスンで話してくれた事ですが、何を犠牲にするかだ、と。
K師匠は研究に研究を重ねて、音量を犠牲にして、音色をとった、と言ってました。これはこれで管楽器奏者としては勇気ある決断ですよね。やっぱり大きい音って出したくなるもんなんですよ。
ジョーヘンダーソンなんかもそのようです。K師匠が大西順子に聞いたらしいのですが、大西順子はジョーヘンダーソンに、なぜそんな音がちっちゃいのか?と聞いたそうです。それもすごい話なんですけどね。体格的にも恵まれなかったから大きい音は諦めて別の奏法を模索したんだ、みたいなことをおっしゃっていたそうです。
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要するに、僕がなぜジャズをできなかったかというと、目的を達成するためであれば、犠牲にしなければいけなかったことを犠牲にできなかった、いや、しなかったことに一つの原因があります。
ようやくマガジンのテーマにある話に少し触れることができました。
これも人生での大きな気づきだったと思います。ただ、若い頃には気づけなかっただけの話です。
なのでジャズを志す人はタイム感をとにかく鍛えることをおすすめします。早く弾くというのは、非常に生まれ持った遺伝子に左右されるので、無理だったらそれは犠牲にして、早いテンポをできるようにする方向に舵を切るべきです。
そのほかにも取捨選択しなければならない場面は都度都度あります。その度にどうしても無理なことにチャレンジしするが深追いし過ぎず、ある程度の犠牲をはらってでも、できることにきちんと集中すべきだと思います。
もちろん、そのような運動能力が備わっていたらどんどんやっていただきたいです。そのような人はこんな文章読まないとは思いますが。