THE FIRST TAKEに関して
あんまり時事ネタを書くのもどうかとも思ったんですが、思うことがあったので一応。
なんとかって4人組バンドは聴いたこともないので良くわかりませんが、そもそも、音楽ってなんだと思います?
K師匠に教わったことを思い出しました。
ちなみに前にも書きましたがK師匠のレッスンはほとんどが哲学的な話ばかりで楽器のこと、音楽のことをちゃんと教わった記憶はあんまりありません。
音楽そのものって実は無形で、かつ時間芸術なんです。
録音っていう記録の技術とは別のものなんですよ。
僕らはこれを混ぜこぜにして考えがちです。
録音した作品というのは録音という技術の賜物でもあるので、実は音楽そのものを表してるものではないですよね。
わかりますかね。
音楽っていうのは奏でたら奏でた瞬間から消えていくんです。残るのは人の記憶にだけ残るものなんですよ。
だから僕らは録音技術ができる前のショパン本人の音楽も、バディボールデンの音楽も聴けません。
でもそれが音楽の本当のことなんです。
僕らがそれを楽譜やレコードやmp3で聴けるのは記録という技術作品を聞いてるのと一緒です。
当然ながら生とは違いますので、それはもう細かいこと言いっこなしでいいじゃないですか、と思います。
古い音源にはテープコンプもかかっているし、マスタリングだってしてある。
ミキサーでバランスもとってますよね。
この人はどうしてピッチ補正を題材にするけど、コンプやEQのことは話題にしないんでしょう?
マイクだって使いますよね。
良いマイク使ってより良い音にしてはいけないんですか?
全て技術ですよね。
ほとんどの音源というものには処理がされてるんです。音圧処理もそうです。
この人のバンドに限り、そういうものをつかってないわけないですよね。
この人がコンプかけなくていいくらい上手かったらとっても素晴らしいですが、500%かけないとだめでしょうから、なんだか、ダサいですね。
僕は録音エンジニアもやりますが、実際、上手い人というのはコンプなんてかけなくてもよいくらい粒が揃ってます。
波形が綺麗なんです。
この4人組バンドの人の言葉をあえて借りていうのならば、録音技術を介した時点でそれはもうハリボテなんです。
この人の大きな欠点はご自身がもう実は既にハリボテの中に身を置かれているのに、それに気づいていないところです。非常にダサいですね。
そんなに無加工の音が聞きたければ、大自然の中で小鳥のさえずりと、風の音だけを聞いていればよろしい。
音楽に優劣があるないの話もされてるようですが、あるに決まってますよね。
能力にも、才能にも、音楽の良さにも技術にも、優劣はあるんです。ホワイト社会だから、優劣が良くないということなのかもしれないですが、何かの優劣と、その人の人間性の優劣を一緒にするからいけないわけですし、なによりこういう発言をする人こそが、大前提、劣っていることが悪であるという前提に立って発言をされているので、頭が悪そうで嫌な気持ちになりますね。
劣っていることが悪でもないし、優れていることが善でもないんです。そんな簡単なものじゃないじゃないですか、世の中は。
歌がうまくてもダサい人はいるし、下手でもかっこいい人はいる。
晩年のジョンレノンがどれだけ声を加工しようが音楽は素晴らしいし、届くじゃないですか。
優劣は確実にあります。そしてそれを判断基準にしてる人だからこそ、「優劣じゃない」という幼稚な表現ができるんじゃないでしょうか。
ともかく、この人は随分鈍い方のようなので、きっとハリボテ加工だらけの音楽でしょうし、とてもダサそうですね。