ドイツのサッカー指導者が見た「日本とドイツ」part1〜ドイツサッカーの実態〜


僕はドイツでサッカー指導者をしている
この国で見たもの感じたものを伝えたい

なにを伝えるかって言えば結論は

『日本がサッカー大国を倒す1つの仮説ができた』

ということだ

え?そんなことあるの?って思われるだろうが
僕は強く確信している
日本にはそのポテンシャルがある

では、まずここでは
ドイツでの見たものをそのまま伝えていこうと思う

まず誰もが驚くのが施設だ
どんなクラブでも
人工芝、天然芝のグランドが1面ずつ
もう一つフットサルコートがある
これくらいが標準だ
ただし綺麗に刈り込まれた天然芝はあまりない
人工芝でプレーしたがることが多い
クラブハウスにはロッカールームは必ずあって
バーとかレストランが付いてたりする

冷静に考え直してもすごすぎる
その上こんな施設がどこにでもある
大体どこに住んでも徒歩圏内にこういった施設がある
しかも最低3.4個はある印象だ

だからとんでもなくチームが多い
多い地域は12部くらいまであって
全てを把握しきるのはどうやら無理みたいだ
サッカーすることに困ることはなさそうで
どうやらそれがドイツって国のサッカー人口を支えているようだ

僕のいたチームは6部の社会人チームだが
選手は結構な人数がお金をもらっていた
日本で言えば地域リーグくらいだろう
大きな額ではないがお小遣いだったら嬉しい額って感じかな
彼らのモチベーションは結構そこにあったりする

そのお金の出所は全て把握はしきれないけど
一つは入場料だ。6部とか7部のゲームにも入場料がかかる
だから人が入んないかっていうと
そんなこともなくて最低50人くらいは入ってる
試合はいつも日曜日だ
日曜日のお昼を近所のサッカーチームに使う人が
こんなにいることも驚きだろう
なぜ多くの人が観に来るのかは後々理解することになる。

では、実際に現場で行われているものはどうだろう?
僕が所属するチームを見つけるのに何チームも回った
この辺はpart0で話しているから割愛する
だから多くのチームのトレーニングを見ることができた。
さまざまなトレーニングを見た結論
そこに目新しいトレーニングはなかった。

よく見たのは攻撃方向なしのポゼッション、ルールは基本タッチ制限
シュート練習は1回動き直しが入るようなもの
ポストシュートしたら、クロスが上がってくるからもう一回とか
4v4、5v5のシュートゲーム、これも基本はタッチ制限
人数揃わなければ+1のフリーマンって感じ
多分多くのサッカー指導者が普通!って思うような練習だろう
ハンジフリックの高速シームレスフットボールを作るような
ナーゲルスマンの特殊な攻撃を作るような
そんなトレーニングはどうやら行われていない
間違えなく言えることは
日本にいるサッカーのために毎日生きている指導者の友人たちの
トレーニングを見せてもらう方が設計やメニューに関しては
学べることは多いということは実感した
どうやらドイツだから下位のカテゴリーにもハイレベルな指導者がいる
そういうわけではなさそうだ

では、プレーする選手たちはどうだろう
日本の選手たちと比較するのであれば
僕がドイツで見ていたカテゴリーは
日本でいう社会人地域リーグレベルと高校の県リーグといったところか
幸運にも僕は日本でその辺りのカテゴリーを肌で感じていた
トップチームの成績は遥か上のドイツ
やはり相対的に選手レベルも高いのか

いや、そんなことはなかった!
パスコンやればズレまくる
だからビルドアップもつまづく
シュート練習は3mくらいのフェンス超えちゃうし
サッカーを賢く行うなんてことしてる選手は少なく感じた
その点比べたら日本の同カテゴリーの選手たちの方が上だろう
日本にいた時によく耳にした”日本人はサッカーがうまい”
僕はこの言葉の意味を身に染みて感じるようになった

日本との比較って話で言えば

例えば、ドイツはゴールキーパー大国、ゴールキーパーが1番人気のポジション
そんなことを耳にしたことある人もいるんじゃないかと思う
正直どこのチームもキーパーに困っていた印象だ
太ってる選手がキーパーやっているのも何度も見た
あまりにキーパーいないからフィールドでキーパーうまい選手いないか
やらせてみようとしたら、もれなく全員嫌がった。
チームの会長からは日本人のいいキーパー知らないか?って聞かれた
ゴールキーパー大国?それはトップオブトップだけの話で
実態はおそらく日本と同じだ
僕は正直U19のチームに自分が高校の部活を教えていた時の
中体連上がりのキーパーがいてくれたらな。なんて思うこともあった。

じゃあこのカテゴリーで試合すれば日本のチームが勝てるのか?
答えはNOだ

いや日本のがうまいんでしょ?どういうこと?
と思われるかもしれない
彼らと日本のチームには圧倒的な差がある

それが”フィジカル”

日本人の方がうまい。ただしフィジカルの差で負ける。
それが僕の見立てだ

僕はアシスタントコーチだったから練習に混ざったりした
だから彼らとの民族の差みたいなものを圧倒的に感じさせられた
黒人の自分より大きい選手にくっつかれた時
どんなに身体状況が優勢でも前入られる
ゴールラインにボール流すために体入れて触らせないようにするプレーで
背中に軽くぶつかられると吹っ飛ぶから
その何気ない1プレーの消費量も半端じゃない
ちなみに僕はおよそ176cm70kgだから日本人だったら標準だろう
フィジカルはものが違う。はっきり理解した。

彼らには圧倒的な”強さ””速さ”がある
その迫力は間違えなくゲームに出てるし
その中で発揮できるうまさがなければうまさは消される

これが僕が目にしたドイツだ
ここからなぜ?とか深掘りして真相に迫る前に
もう一つドイツを語る上で大事な要素があった
僕はこのためにこの年にドイツにいたのだ
それは”カタールワールドカップ”
ドイツというサッカー伝統の国で見たW杯
次はそんな話をしていこうと思う。


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