バイオマスを家庭に普及させるには(消費者編)
前回への回答。まずは、消費者目線。家庭と言っても色々ありますよね。
・バイオマスエネルギー興味あり層
こういった方々(自分含め)は貴重です。多くは地方に住んでいて、すでになんらかのバイオマス設備を導入しています。薪ストーブ、薪風呂、ペレットストーブなどを使い、そのこと自体が喜び・楽しみです。
しかし、まだ導入できていない方々もいるのです。価格、賃貸住宅、燃料調達など、諸条件で足踏みしています。現状、インフラが整ってませんから、個人の努力が必要なのがバイオマスなんですよね。そこまでしてどうしても導入しなければならない状況でもありませんからね、バイオマス。
・バイオマスエネルギー興味ない層
インフラありませんから、導入しませんよね。どこで、いくらで買えるかわかりませんし、そもそも広告などニーズ創造が行われていないので、まったく導入する気持ちがわきません。
・住宅の特徴別対応策
集合住宅(=賃貸):賃貸は借り手側はどうしようもない。ですから、オーナーがバイオマスボイラーを導入し、暖房・給湯エネルギーをバイオマスで提供すること。オーナーが行政だとやりやすい。公営住宅の必要性は、西村佳哲さんの「ぐるり雑考 第9回 すごくあるけど、まるでない」で指摘されていて、これからは公営住宅を普及させる必要があると僕も思っていて、そこにバイオマスを入れていくのは現実的だと思っています。行政には補助金も出やすいので、ここはぜひ力を入れてほしいところです。
これをやると、興味ない層まで届きますね。あ、そういうのあるのか。それっていいかも。という個人の努力なしでも利用できるのがインフラの重要な役割です。北海道下川町、山形県最上町は公営住宅にバイオマスを入れているし、岩手県紫波町は分譲地にバイオマスの地域熱供給を入れていて、自然と消費者が使えるようになっています。ただし、サイズ感がちょっと大きめで、自分たちがやってる感はありませんけどね(当事者意識はある程度必要だけど、そこそこでいいかも。)
戸建全般(所有、賃貸):賃貸は設備更新がなかなか難しいですが、地方だと「いじっていいよ」といってくれるオーナーも多いです。戸建は所有や賃貸に限らずリノベする機会が多く、最近は、断熱・気密を含めたDIY/DICリノベーションが流行の兆しを見せています。僕はバイオマスDIYもそこに混ぜてもらえたらと思っています。徳島地域エネルギーさんのところに行った時、自分たちでやれるよって実際にやっていて、これは可能性があるなあと思いました。詳細なやり方はこれからですが、戸建住宅に小さなチップボイラーor薪ボイラーを入れていくのは現実的だなと思いました。ただし、これはバイオマス興味層であり、この興味層を「住まい」という文脈から増やしていければと思っています。
・燃料の調達問題
住宅の特徴に関係なく、燃料の調達問題は必ずぶつかります。薪、ペレット、チップの3種類のうち、薪は自分で作れますが、あとの2つは普通は作れません。薪も作るの大変です。事前にどのように調達するかを決めてからじゃないと絶対に設備導入できないし、調達元が1箇所しかなかったら、不安で仕方ありません。このへんのインフラ不足が本当におおきな問題でしょう。バイオマスは再生可能エネルギーの中でも唯一、燃料調達が必要で、EVの普及は充電器の普及とセットであるように、バイオマスの普及も燃料の普及とセットにならざるを得ません。また、EVの燃料は電気であり、これは電線で運べますが、バイオマスは固体燃料ですから運搬が非常に大変です。ただ、灯油は大小色々な運搬車で運んでいますので、できないことはないはずです。
ちょっと終わらないので、ひとまずこのへんで。写真は、北海道下川町の集合住宅に導入されているバイオマスの管理室です。さて、次回は事業者目線で。