
40年越しのシャアザクに祖父、何を思う。

最近、子供がガンダムに興味を持ち始めた。
最初はYouTubeでゲーム実況を見ていたのがきっかけだった。
「ガンダムってかっこいいね!」
その一言を聞いたとき、俺の中で何かが目を覚ました。
気づけば30年ぶりにガンプラを買っていた。
子供と一緒に作るプラモデル。
これが、めちゃくちゃ楽しい。
パーツを切り出して、ゲート処理をして、組み立てる。
「ここはこうやってハメるんだよ」
「おお、すげえ!」
子供のリアクションが、たまらなく嬉しい。
ふと、昔の記憶がよぎった。
あれは、俺がまだ小さかった頃。
近所の文房具屋に シャアザク のプラモデルが売っていた。
「これ、欲しい!」
おじいちゃんにねだったら、買ってくれた。
でも、当時のガンプラは 接着剤 が必要だった。
作り方も難しいし、部品もポロポロ取れる。
当然、子供とおじいちゃんの手には負えず、
シャアザクは 未完成のまま放置 された。
あのシャアザク、一体どこへ行ったんだろう。
その日、俺は おもちゃ屋へ走った 。
「あった……!」
シャアザク が、だいぶ洗練されたフォルムにはなっているものの、今も俺を待っていてくれた。
気づけばレジに向かい、財布を取り出していた。
帰宅して、子供が寝た後、無心で組み立てる。
あのときの悔しさを晴らすように。
昔とは違う、大人の手で、シャアザクが形になっていく。
そしてついに――
「……完成した。」
目の前に立つ、 完璧なシャアザク 。
めちゃくちゃ、かっこいい。
俺は 40年の時を超えて、ついにシャアザクを完成させた。
「おじいちゃん、ついに作ったよ!」
そう報告したい気持ちになった。
きっと あのときのシャアザクも、おじいちゃんもこれで報われたに違いない。
…… まあ、おじいちゃんはこんな話、1ミリも覚えてないだろうけど。