『シン・ウルトラマン』を観てきた
金曜日にユナイテッド・シネマ幕張で観てきた。
とても面白い。
私はもともと特撮好きでウルトラマンも結構観ている人だが、ウルトラマンに興味なくても、SFが好きな人なら観て損はないと思う。
ただ、ある程度、最初の「ウルトラマン」と、庵野監督の作品を知っている人なら、もっともっと楽しめると思う。
「ウルトラマン」という作品の目指したことや、当時の視聴者が感じたものをより洗練され練り上げられた作りと、現代に通じる表現や演出で思い出させてくれる――というのもあるし、ウルトラマンが好きでエヴァンゲリオンを作った人の作ったウルトラマンを見ることができる、というのもある。
そういう感じの、要素が詰まりまくってる映画。
ポイントは、そんなこと気にしないで普通に楽しめる映画でもあるということ。色々と推察しすぎてウザがられるのも嫌だな、とも思うし。
でも、こだわり出すと、次から次へと「あー! そうくるのか!」とか「これって、こういうことを意識してるよね〜」とか、そっち方面への楽しみが次から次へと湧いてきて、たまらない。
で、内容については、なにを言ってもネタバレになりそうなので、未見の人はここまでにしておいてください。
ここから先は、細かい話をするので。
ネタバレ危険!
・まず冒頭の「ウルトラQと思わせてのシン・ゴジラ」。わかる、わかるよってなっちゃうよなあ。でも、わからない人には全く理解不能なんだから、最初からこれやって大丈夫?とも思っちゃう。
・そして、ウルトラQの曲に乗っての世界説明。いきなりのゴメスが、パッと見シン・ゴジラに見える(歯の感じとか、死んだとことかも)のが、「着ぐるみ使いまわしたんだな!」ってな勝手な捏造歴史をぐるぐるさせる仕掛けに思えてしまう。
・ネロンガの冒頭、稲妻が垂直に上がってるあの絵面がもう庵野作品って感じ。こっちが勝手に反応するようになっていること自体が、「あー。はめられている」と思うのだ。
・禍特対が、スーツ姿なのも演出のうちなのは理解するが、独特の胡散臭い制服でいてほしかったな、という思いが渦巻く。巨人になったときだって、制服でいてほしかった。
せめて専用ヘリがビートルって呼ばれてるとか。あ、パンフも資料集も見てないからしらんけどね。
・禍特対の配置、どっちかというとアサミはアラシだよね。いまいち存在感の薄いユミが巨大化するのか?って思ってたから、あ、そこはそうなんだ〜って思ったり。
・政府がどうこうの部分は、私はけっこう「どーでもいい」人。一貫してればそれでいいというか。逆に今回はもっと少なくたってよかったんじゃないの、くらいに思った。でなきゃ、宇宙人とのやりとりをもっと深くやるか、どっちかだ。
・ただ、二時間で5エピソードはギリッギリでしょ。その中でよく各エピソードがつながる流れができているなあと感心もしたけど、あの詰め込み感を「ウルトラマンの映画の空気感」と言い切るのは、無理がある気もした。もちろん、ウルトラマン好きがそう楽しむのは自由だし、その見方もわからなくもないけども。でもさ。
・パゴス、ネロンガ、ガボラの顔……使徒を連想しちゃうよなあ。ウルトラマンからエヴァンゲリオンを連想って、そもそも逆なんだが、でもこの「仮面」は、逆輸入ものだよね。
・ゴモラはだいぶ使われちゃってるから、怪獣から、ザラブ、メフィラス、ゼットンの流れは悪くなかったなあ。
・旧作のノリで私の好きな要素のひとつは「おおらかさ」なんだが、いい意味での体育系のバカさ感が希薄なんだよね。ついでに言うと、ウルトラマンの「明るく楽しいプロレス」感も希薄。でも、それは作品のカラーだから、この流れで急にそれやられたら面食らうだけだけどさ。ひたすら一本背負い。うーん。
・にせウルトラマンの感じは、よかった。きっと夜中の戦いだからなんだろうな。メフィラスとの戦いも燃えたけども、旧作のほうが好きだ。なんなんだろうな。
・ただ、メフィラスがいい。実にいい。もともとメフィラス好きで、メビウスでますます好きになったが、今回のメフィラスは素晴らしい。一番、リアリティがあった。禍特対の面々よりも、政府の要人たちよりも、「いるだろうなこういう宇宙人」ってなるやつ。
だってさ、社会性がどうこう言っといて、街なかで飲み食いしてるシーンがあったの宇宙人たちだけなんだぜ。
・メフィラスの言動は、いろいろな意味で、ウルトラマンという根っこの部分を持つケロロ軍曹の世界観を思わせたりもした。いやマジで。
・メフィラスがウルトラマンとの戦いをやめた理由が「あ、ゾフィいるじゃん! 面倒なことになるな」で――というのが、ちょっと悲しい。個人的な趣味では、純粋に子供の意志を変えられなくて敗けを悟るとか、ウルトラマンと戦ってもしょうがない、のほうが、私の好きなメフィラスだ。まあ今回の話の流れ的には「そうきたか!」のひとつなんだけど。
・科特隊が世界的な組織だったことを思うと、旧作のウルトラマンの世界は地球人側も「理想に近い平和を実現した世界」って感じなんだよな。シン・ゴジラの後作品であるシン・ウルトラマンは、そうではない。日本政府の下部組織にすぎない。もちろん、宇宙人との交渉と各国の干渉などのプロットが面白いから、そうなるわけだけど。
・ゾフィのぶつぶつがないのは、カラータイマーがないのと同じ? ツルッとしてたいから?
・命の代わりにゼットン持ってきちゃったか〜! ってなった。面白かった。
・タキがイデなわけだが、一番感動したのが、勝手に勘ぐっちゃっただけかもしれないけども、世界中の知識を結集させている場面で、「案外そういうものが滑稽に見えるものなのだ」的なことをキャップが言ってて、「ああ、それって旧作のペンシル爆弾のことを言ってるんだよな。うんうん」ってなったの。
・だってさ、ゼットンは「一兆度の火の玉を吐く」っていってんだから吐くんだよ。科学的にどうこうとかケチつけるの嫌いなんだ。だからそこを逆手にとって超兵器にしたのが最高にスカッとした。ほら吐くんだよ、って。
・だから旧作のペンシル爆弾だって「え? あれでゼットンが?」って見えたって、叡智を結集した成果なんだよ。滑稽に見えたってね。
・……みたいなものを感じてしまったのでした。
また思いついたら書くかも。
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