刑事フォイル

 「刑事フォイル」という英国のドラマが好きだ。

 第二次大戦中のイギリスでの刑事物で、当時のドイツとの戦争の歴史や風俗とイギリスの田舎町の事件をうまく絡めつつ、殺人事件を解決していく。
 主人公の引退間際のフォイル刑事や、運転手のサム(女性)、助手のミルナー巡査などの登場人物がみんな魅力的で実に面白い。地味なんだけど重厚で、プロットはけっこう複雑。フォイルの観察力と仲間の協力で、淡々と事件が解き明かされていく感じも好き。ぼんやり観ていると筋が追えなくなるので流し見はできないが、気合い入れて観るだけの価値がある。
 その最終シーズンが、土曜日にやっている。
 前のシーズンで戦争が終わったから、ドラマも終わったのかと思っていたんだけど、最終シーズンは戦後の話だった。
 原題は「Foyle's war」だから、冷戦中のフォイル──ということなのだろう。邦題は「刑事フォイル」ってつけちゃってるけど、警察はやめてしまって、以前のシリーズで知り合ったMI5の幹部からスカウトされて、MI5の局員として、スパイ事件に絡んだ殺人事件の謎を解いていく感じ。
 テイストは変わりないけど、やはりスパイ戦の要素が強い。
 この地味な感じでスパイ戦やられると、MI6の話ではあるけれども、フリーマントルの「チャーリー・マフィン」を思い出してしまう。あんな感じの裏切りと責任のなすりつけ合いみたいなのが主軸になってきて、ちょっとフォイル感が薄れてしまう。舞台がロンドンになってしまって、イギリスの田舎の生活感がないのもその一因だろう。
 でも、MI5のいやな感じに、フォイルが粘り強く抵抗していく感じがいいね。来週も楽しみだ。

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