牛乳瓶の話

　明治牛乳がガラス瓶での販売をやめる……という記事を見て、思ったことを書こうと思う。
　内容的にはまあ「貧乏人の愚痴」に近い屁理屈なので、そういうのはべつに読みたくないって人は、ここで引き返していい。サクッとホームに戻って、もっと楽しい記事を探せばそれでいいのだ。

　現在、私は牛乳を配達してもらっている。日記に書かれている記録では、少なくとも18年前に配達のことを当たり前のように書いている日記があるので、20年近く瓶の牛乳を配達でとっていると思う。
　配達の契約をするきっかけとなったのは、2000年代に「牛乳瓶が改良されて軽く丈夫になった。リユースはエコである」と、牛乳会社がアピールしたこと。
　勧誘のためにサンプルを配りに来た明治牛乳（配達そのものは、本業は置き薬屋さんっぽい「布亀」なる専門の会社が請け負っていてそこと契約）の瓶を見て「なるほど、軽くなったんだね～」と感心した。
　また、「牛乳の紙パックをリサイクルする」という面倒くさい行為に嫌気が差していたことも手伝って、「エコになるなら瓶牛乳をとってみるかー」と、とり始めたのである。子供の頃から、ヤクルトはとったことはあるが、牛乳の配達はしたことなかったので、わりと新鮮だった。朝早くに届くものと思っていたら、昔とちがって午前の遅い時間に来ると知ったのもこのときだった。
　本数を減らしはしたが、現在で週に四本配ってもらっている。たぶん、最初は「最低でも週に７本」みたいなことを言われて「契約したあとで、変更して減らすのはいいから」と裏技的なことを言われて、そうなっていった。途中で病気になって、医者から「糖分を摂りすぎるからドリンクヨーグルトを継続して飲むのはやめろ」と言われたので、今は「おいしい牛乳」のみ。
　それでも、けっこう高い。月に3000円ぐらいはかかる。容量にしたら800mL✕４週（実際は、今では一本が200ではなく180だが）だから、スーパーで買えば1000円前後で済むのに。
　しかし、人件費その他を考えれば妥当だと思っていた。紙パックを洗って束ねて出したりせず、瓶を返すだけでエコ（なことをした気分）になる代金を払っているのだと思えば、高いなーと思うけど我慢はできる。
　そう思っていたから、ぶつくさ言いながらも、とっていた。
　牛乳代が財政を圧迫して、「もうやめるかー？」というタイミングは何度もあったけれど、「瓶を配ってくれているんだからなー」と思い直していた。たまに、おまけでくれるコーヒー牛乳なんかも、嬉しかったし。
　「ここへ上がってくると富士山が見られるのがいいんですよ」なんて言ってくれる配達のおじさんも、いい人だったし。

　しかし。
　明治は牛乳瓶を廃止する聞いた。小売販売だけでなく、たぶん配達も、リユースの瓶自体がなくなるのだ。三月いっぱいで。
　連絡は受けていないが、四月からは紙パックで配達するつもりだろう。
　瓶はリユースでエコだから、とか言ってたので配達を選択したのに？
　紙パックを配って高い料金を払い、紙パックを洗って束ねて回収に出すのであれば、この料金を払って配達してもらう意味はない。
　っていうか、じゃ、エコだから……は嘘だったのか？　って話だ。
　こっちは、スーパーに買いに行くのが面倒なのではない。紙パックなら買ってくる。
　百歩譲って、飲み終えた紙パックをそのまま回収してくれる――というならまだ考えはするけれど、たぶんそうはならないだろうし。

　配達している人には申し訳ないし、配達の会社もけっこういっぱいいっぱいでやめられたらショックだろうなーと思うと、心苦しいのだけれど。
　でも、あっちが勝手に瓶をやめるというのだから、こっちがとるのをやめるのも勝手といえば勝手だろう。配達会社に罪はない。瓶を廃止したのは明治だから。まあ、これからは明治以外の牛乳も選択肢にいれて、スーパーで買うようになると思う。

　あとは断るタイミングだなあ。
　20年も続けてたからなあ。直に相手をしている人には断りにくいよなあ。
　まったく。

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