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仕切り直し樗堂一茶両吟/藪越やの巻
十八
花の木は雪のふるとし根枯して 樗堂
普賢の像を直す陽炎 一茶
初ウ十二句、菩薩の像を詠み、歌仙の閉じ目を〆ていました。
〇
普賢の 六牙の白象にお乗りになって顕れる菩薩。
像を お姿を
直す 立て直す(修繕・修復・再建)
陽炎 かげろふ
〇
はなの きはゆきのふるとしねがれして
ふげんのぞうをなをす
かげろふ
閉じ目を普賢菩薩のお姿で結んだ一茶の句。思えば初折表の発句に「御書」、初ウ綴目に「普賢」と、一茶釈教の一端が示されていました。
〇
尺艾一茶両吟/分け入ればの歌仙(寛政七年冬)に
陽炎のはじめ終りを歌によみ 尺艾
寺ちいさくも長閑なりけり 一茶
元禄のかはらぬ花の夜の明けて 〃
と。
また、後の「おらが春」には
無限欲有限命
此風に不足いふ也夏座敷 一茶
と。(この夏座敷、どうやら普賢菩薩像を祀る善光寺威徳院らしいのです)
一茶には、生涯を通じて「行の菩薩」サマンタバドラに御縁があったことを知るのです。
〇
四国霊場64番札所前神寺の並木桜の参道に、『西国紀行(寛政七年紀行)』余白書き込み「神前(前神)寺 御百度や花より出て花に入」を刻んだ句碑があります。ここには、高野山普賢院の森寛紹こと白象の句碑「石槌の麓の寺の秋遍路」もありました。
一茶に白象。何の因果でこのようなことになったのか、、、、おそらく佛の導き賜うところだったのでしょうね。
藪越や 初ウ七句~十二句
初ウ 雑 水の雨魚も鳴べき風情にて 樗堂
夏 燐乱るゝ諏訪の涼風 一茶
雑 昼の夢よべのうつゝを結ぶ也 堂
春 春は立テども部屋住の窓 茶
花 春 花の木は雪のふるとし根枯して 堂
春 普賢の像を直す陽炎 茶
4.9.2023.Masafumi.