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とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻

Berjaln-jalan, Cari angin.
     12

思出て聖霊まつる年の暮
 琉球の島に舟ハ古ひて         一茶

初ウ六句、長崎仕込みマドロスものの一句。

     〇

琉球の うるま・の、「ウルマ」一茶書き込みルビ。沖縄の雅称。

島に しま・に、 島影に。

舟ハ ふね・は、 港に繋がれた舟は。

古ひて ふるびて、よく使われた跡が。(きっと、外洋を幾度となく行き来したことだろう)

     〇

おもひでて せいれいまつる としのくれ

 うるまのしまに ふねはふるびて

「思出て」に誘われて、一茶は、遠く琉球の島々に思いを馳せていたのです。

     〇

この年の夏、一茶の連句に

 鯛なき波の西あかき空        白黛
マタロスが古里を泣く明がたに     一茶
 淋しく避て柘榴こぼるゝ       白黛

「芭蕉堂之会 月うつるの巻」『たびしうゐ』初ウ四、五、六句。

と。(一茶には、長崎や西国の港々で触れ合った外洋船の船乗りたちとの交流があったのです)

     〇

少し前の代には

 寺への用はつきのけて置       滑川
木挺つかふ琉球舟の碇組        羨鳥
 まだ若けれと物の頓作       その女

「歳切のの巻」『たかね』初ウ六、七、八句。

と。(羨鳥は伊予のひと、滑川・その女は夫妻。大阪時代の俳諧の連句です)

     〇

ちなみに、芭蕉句碑の南限は奄美の喜界島。園女在阪中に薩摩藩士との交流が縁であった、と云われています。

西鶴の俳諧を阿蘭陀流と云っていたころから、俳諧の世界では、常に海洋への眼差しを持ち続けていたのです。

梅の木のの巻   初ウ一句~六句

   秋 無骨なる人に仕へる秋のすへ     麦
   雑  黄金の洞に松ともしつゝ      茶
   雑 酒の料はかた帯をやほとくらん    士
   冬  晋士にみさを見する雪の日     茶
   冬 思出て聖霊まつる年の暮       士
   雑  琉球の島に舟ハ古ひて       茶

7.11.2023.Masafumi.

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