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風早ハ兎文一茶/交流始末

     3-2
  家買ふて(表六句)

家買ふて肱を枕の月見哉
 治世を諷ふ市中の秋         魚文

     〇

いえこうて ひじをまくらのつきみかな

 ちせいを うたふ いちなかの あき

     〇

脇を魚文さんがおつとめになりました。
昨年(寛政七年)魚文さんとは「寝転んで」と「梅の月」の歌仙二巻を巻いていましたので、その手の内は十分承知していたのです。
立句を受ける脇句は「発句に打ち添えて作るのが本義。亭主挨拶の位とされ、発句と同季」と、後の世の歌仙の手引きにありました。

世を治め、泰平の世を謳歌する
 城下に暮らす多くの人々の秋であることよ。

治世は「ちせ」あるいは「ぢせ」とも読むが、ここでは日葡辞書のGixeiヂセイ、ヨヲフサムルの意。

     〇

猿蓑に

市中は物のにほひや夏の月       凡兆
 あつしあつしと門々の声       芭蕉
二番草取りも果さず穂に出て      去来
 灰うちたたくうるめ一枚        兆
此筋は銀も見しらず不自由さよ      蕉
 たゞとひやうしに長き脇指       来

と。

19.10.2023.Masafumi.

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