鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻
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ほつほつと筵に這す秋蚕
魚買寺の箕を提て出る 樗堂
名オ十二句、世を過ごす仮の姿で〆ていました。
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魚買寺の うをかひでら・の。(精進じゃないのかなどと、野暮云っちゃいけませんよ)
箕を提て み・を・さげて。箕は「箕被り」の箕(ほら、御内儀だって心得てるんだよ)
出る でる。(外に)
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ほつほつ と むしろにははすあきかひこ
うをかひでらの みをさげてでる
筵に箕、農家の婦女子に寺の御内儀、それぞれの暮らしがあったのですね。と、樗堂名残り表の〆句としていたのです。
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句に
人の世の庫裡の裏なる福寿草 春一
萩の風庫裡の衣裄に女帯 統流子
初観音庫裡に入る人鯉もてり 文子
など。
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初雪やの巻 名オ七句~十二句
冬 売のこる菅菰捨し北時雨 茶
雑 煩ふ馬の薬問ひけり 堂
月 秋 井一ツをもやひ長屋の薄月夜 茶
秋 娘やりたき星の陰言 堂
秋 ほつほつと筵に這す秋蚕 茶
雑 魚買寺の箕を提て出る 堂
26.10.2023.Masafumi.