
風早ハ兎文一茶両吟/門前やの巻
18
月花に損こハらせる小サ刀
蝶まつはるゝ東下りに 一茶
初ウ十二句、ゆく街々はあの噺でもちっきり!だって忠臣蔵だもの。
〇
蝶 てふてふ
まつはるゝ 纏はる。そばについていてはなれない。
東下りに あづまくだりに。「東下」あるいは「下向」とも。
〇
つき/
はなに/ そこはらせる
ちさ かたな
てふ まつはるゝ あづま くだりに
花に蝶、むかし<業平>いま<四十七士>といったところでしょうかね。「娘十七八蝶々がとまる とまる筈だよ花だもの」いい男もいい女も、そりゃあ、世間はほうってはおくわけはないのですから。初裏綴目の句でした。
〇
余外ながら、歌仙を記録した一茶は句の上部に「罐ツルベ 繘ツルベナハ」と書き込んでいました。
これが「月花に」かかわるものか、「蝶まつはるゝ」の句にかかわるものか、あるいはそれらへの注記だったのか、それとも新たな着想を得て記したものか、いずれにしても気になるところです。
〇
あれやらこれやら思案六法。
「籠釣瓶はよく切れる」後の歌舞伎に『籠釣瓶花街酔醒』がある、とは云え、その初演は明治28年5月のこと、凡そ埒外なことだなあ、、、、、、。
などと。
門前やの巻 初ウ七句~十二句
夏 三伏のいらかを巡ル雲のミね 文
雑 穢れし女下山してなく 茶
雜 念比に素湯貰て吞す也 仝
雜 敷居見通す百畳の奥 文
月花 春 月花に損こハらせる小サ刀 仝
春 蝶まつはるゝ東下りに 茶
11.10.2023.Masafumi.