見出し画像

風早ハ兎文一茶両吟/門前やの巻

     25

 男まさりに駈歩く哉
半分ハ仲人もかふる鍋の敷    兎文

名オ七句、良くも悪しくも仲取り持つ縁と心得て。

     〇

半分ハ はんぶんは。

仲人もかふる なかうど、結婚の仲立ちをする人のこと。「仲人に全く責任がない」などと、云いたくとも云えないのですから。

鍋の敷 「割れ鍋に綴じ蓋」とはよく云ったもの、ときにはこぼれた汁も被ります、鍋敷きにね。

     〇

 おとこまさりに かけあるくかな

はんぶんは なかうども かぶる なべのしき

じゃじゃ馬馴らしもそれなりに、ながく連れ添っていれば、そりゃ穏やかな日ばかりじゃありません。ほうちゃおけませんよ、仲人だもの。

     〇

俳諧に

七夕のなかうどなれや宵の月     貞徳
仲人口人にかたるな女郎花      西鶴
木瓜の春の君が仲人わがすなり    暁水

俳諧の連句に

 仲人かかにかかる雨雲       素玄
さげ髪の末を心に念願し       定祐 (宗因七百韵)

川柳に

仲人の舌はぬかるる覚悟也
あいぼれの仲人実はまわし者

など。

14.10.2023.Masafumi.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?