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北条ハ兎文一茶両吟/門前やの巻

     04

乙鳥の休む時にハふくらミて
 土人形の土かわく見ゆ     一茶

初オ四句、月の座前の雑の句、なるほど。

     〇

土人形の 型抜きをした素焼きに胡粉をかけ泥絵具で彩色した人形のこと。伏見を筆頭に列島の各地で作られ、大蔵常永「広益国産考」には、江戸時代その制作を奨励していたと。

土かわく 焼成前の土雛、古語はひる(干る、乾る)。

見ゆ かる~く、万葉調で。

     〇

いつてふの やすむるときはふくらみて

 つちにんぎやうの
 つちかわく
 みゆ

燕の営巣は土や泥、しかも聞きなしでは「土喰って、虫喰って、口ちゃしい~ぶい」と、そこで一茶は、人々の暮らしの一端を活写し、土、土と重ね、万葉調の「見ゆ」で調子を整えていたのです。

     〇

句に

庭に干す土人形や石蕗の花    子規
秋の日の生干に寒し土人形    紅葉

などが。

     〇

次は月の座です。

27.9.2023.Masafumi.

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