とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻
Berjaln-jalan, Cari angin.
03
家並なき山しりの春
夕かすミ御狩の狸背に負て 麦士
三句、転調・変化で「て」留めの句。
〇
夕かすミ ゆふ霞、夕べにたちこめる春霞。
御狩の み・かり・の、武門の狩りは、藩士をかりたてる儀礼のひとつ。
狸 たぬき、「狸捕った」と大威張り。
背に負て せ・に・おひ・て、背中にしょって。(でも、それがなんだかおかしいのです)
〇
やなみなきやましりの はる
ゆふかすみ みかりのたぬきせにおひて
山尻に御狩り、春に夕霞、付け筋の明白さに騙されそうですが、この句の肝は「狸」です。うふふと笑う滑稽味を加えることで気持ちをほぐしながら、その余勢をかりて、一座の興を別の世界にまで飛ばそうとしていたのです。
〇
伊予、ことに松山の人々は狸好みで知られていました。
狐も狸もいるなかで、<四国にゃ、狐の噺はありません>などと豪語し、もっぱら狸噺に明け暮れていた方々もいらっしたのですから。(どなたとは、今更、申し上げられないのですが、、、、、)
5.11.2023.Masafumi.