風早ハ兎文一茶両吟/門前やの巻
20
真柴焚く伏屋の煙春深く
今や朝飯の貝響くなる 一茶
名オ二句、明けぬ夜はない、朝がくれば腹も減る。
〇
今や いまや~~、以下のことばを強調して。
朝飯の 「今日も元気だ朝飯が旨い」といった具合だったのでしょうね。
貝響くなる 殻つきの貝の音が、、、、、
〇
ましばたくふせやのけむり はるふかく
いまや あさめしの かひ ひびくなる
前句伏屋の煙から、朝餉へと時を移し、貝の鳴く声や殻の擦れ合う音などに、暮らしの息吹を感じ取っていたのです。
〇
「貝響く」近代の句に
地震過ぎて歯軋のごと浅蜊磨ぐ 房子
からからとあさりを洗ふ春の音 綾子
浅蜊洗ふ音しやりしやりと秋の暮 真砂女
この曲の記憶のありて浅蜊汁 則子
曲目は何ぞ浅蜊の管楽器 良一
浅蜊鳴くむかしの人は胸に棲む 八束
浅蜊鳴かせ主人十年病み申す さかえ
泥の浅蜊よいま叫ばねば鬱血す 鬼房
死せる誰波浅蜊の唄に近すぎる 千津
など。
〇
なお、余外ながら、歌仙上部にある一茶の書き込み「火 □ケフタシ」」は、恐らく前句の「煙」に添え、さらに、この句の「響」をより一層際立たせようとした注記だった思います。
また、船団の会編「朝ごはんと俳句365日」人文書院がありました。
12.10.2023.Masafumi.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?