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風早ハ兎文一茶両吟/門前やの巻

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真柴焚く伏屋の煙春深く
 今や朝飯の貝響くなる     一茶

名オ二句、明けぬ夜はない、朝がくれば腹も減る。

     〇

今や いまや~~、以下のことばを強調して。

朝飯の 「今日も元気だ朝飯が旨い」といった具合だったのでしょうね。

貝響くなる 殻つきの貝の音が、、、、、

     〇

ましばたくふせやのけむり はるふかく

 いまや あさめしの かひ ひびくなる

前句伏屋の煙から、朝餉へと時を移し、貝の鳴く声や殻の擦れ合う音などに、暮らしの息吹を感じ取っていたのです。

     〇

「貝響く」近代の句に

地震過ぎて歯軋のごと浅蜊磨ぐ      房子
からからとあさりを洗ふ春の音      綾子
浅蜊洗ふ音しやりしやりと秋の暮    真砂女

この曲の記憶のありて浅蜊汁       則子
曲目は何ぞ浅蜊の管楽器         良一
浅蜊鳴くむかしの人は胸に棲む      八束

浅蜊鳴かせ主人十年病み申す      さかえ
泥の浅蜊よいま叫ばねば鬱血す      鬼房
死せる誰波浅蜊の唄に近すぎる      千津

など。

      〇

なお、余外ながら、歌仙上部にある一茶の書き込み「火 □ケフタシ」」は、恐らく前句の「煙」に添え、さらに、この句の「響」をより一層際立たせようとした注記だった思います。

また、船団の会編「朝ごはんと俳句365日」人文書院がありました。

12.10.2023.Masafumi.

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