
風早ハ兎文一茶/交流始末
1-1
人並に(表六句)
樹下石上を栖となすハ 雲水抖擻の常ならなくに
今よひハ 諸風士と共に 蝸牛庵に会ス
人並に畳のうへの月見哉 むさしの旅人 阿堂
〇
樹の下や石の上で過ごすのが、雲水・行脚僧の常だとしながらも
今宵は、ご城下の風流を好む方々と、蝸牛庵で句会を致すことができました。
(このように申し上げるのも、追々お聞き及びのこととは存じますが、親とも頼む松山・二畳庵の樗堂さんと、つい先ごろ巻いた歌仙で「石の枕の」句を挙句としていたからに他なりません)
句会では、請われて、僭越ながら発句を申し上げました。
その発句は
人さま並に
畳のうえで
月を愛でることができる幸せを感謝申しあげます、と。 むさしの旅人 阿堂
〇
『一茶全集』に「「人並に」の発句は、一茶遺稿『御桜』に「松山御城にて良夜」の前書きつきで出ている。」と、ありました。
18.10.2023.Masafumi.