鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻
02
初雪や鳥屋の鳥の朝の声
堀を真向に寒き茶烟 一茶
脇、これはまた、お早いおなりで「ささ湯茶なりとも」。
〇
堀を 堀を巡らせるのは、近世城郭の構のひとつでした。
真向に まむきに。
寒き 「さむき」が季語。
茶烟 ちやけぶり。ここでは、お屋敷での朝仕度のこと。俗謡には「嫁は起きて茶をわかせ」などと。
〇
はつゆきや/
とやのとりのあさのこえ
ほりを まむきに
さむき ちやけぶり
初雪に寒きと、発句と同季で打ち添えた脇の句。向こうには朝仕度の煙があがっているのですが、それにしても「お寒いことで」と一茶の挨拶があったのです。
〇
句に
芽柳や子規も遊びしお堀端 ousia「俳諧伝授」
雲の峰真向ひにして朝餉かな 櫂
がありました。
21.10.2023.Masafumi.
参考までに、伊予の俗謡・春蘭の唄「じじばばねんねしろ 嫁はおきて茶々わかせ」。