
風早ハ兎文一茶・交流始末
1-5
人並に(表六句)
苞のしめりの状にうつれる
山折敷積重たる冬されに 宇好
〇
五句目は、元々月の定座ですが、発句に月を引き上げましたので、ここが空き家になっていました。
山折敷とは、外枠を立てた折敷に盛られた料理のことです。
大勢のお客様がいらっしてるようですから、おもてなしの料理がいっぱい積み重ねられているのです。
宴たけなわなれど、外は寒く、冬ざれの風が吹きすさんでいます。
歌仙は、五七五の長句に七七の短句と付け、さらに五七五を付け進める遊芸です。だから、前句にどう付けるかで、その腕前が問われていたのです。ここの「苞のしめり」に「山折敷」は、あまりに句材が近過ぎることから、<付き過ぎの感>がしないでもないのです。もっとも、付け筋が難解で首を傾げるようなものよりもましなのですが、付かず離れずの頃合いを探ることがとても大事だったのです。
〇
俳諧の連句に
壬申十二月廿日即興
打よりて花入探れんめつばき 芭蕉
降りこむまゝのはつ雪の宿 彫棠
目にたゝぬつまり肴を引かへて 晋子
羽織のよさに行を繕ふ 黄山
夕月の道ふさげ也かんな屑 桃隣
出代過て秋ぞせはしき 銀杏
美濃衆の肝いりで、石手寺に建立した「花入塚」の懐紙がありました。
18.10.2023.Masafumi.