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謡ふ酒屋樗堂一茶/烟しての巻

    日常平語
     02

煙してのどけき冬よ山の家
 木の葉はらはら昼比の月       一茶

脇、一茶亭主の位、月の座をここに。

     〇

木の葉 こ・の・は、きのはでもよし。

はらはら 「茶翁聨句集」には「ちらちら」、縦書きだと「はらく」と。

昼比の月 ひる・ころ・の・つき、「昼の月」で一語、ころは付け足し。

     〇

けむりして のどけきふゆよ やまのいへ

 このは はらはら ひるころのつき

この句には<細る>が隠されている。と、なれば、木の葉は、、、、、、、前句の烟が細りやがて消えゆくように、あるいは筧の水が細りゆくように、樹々の梢も音を立てながら、更に、かすかに微かに、、、、。その青空のなかに、後の月が大きく透けて見えていたのです。

     〇

歌仙という文藝は共同で作りあげるものです。お互いに譲り合わないと成立しない遊びです。

おそらく初案は「ちらちら」、後に「はらはら」としたのではないか、と。

初ウ一句樗堂の「ちょろちょろ」を生かし、脇一茶の「ちらちら」を消したとみているのです。

     〇

「何でそんなことが云えるのか?」という疑問を持たれる方も多いことでしょう。

いくらか慣れれば、難なく分かってくるのですが、これとて、あてにはなりません。爺さん相変わらずバカ云ってるくらいで素飛ばしてもらって結構です。

どう読まなければならないなんてキマリはありません。何より、ご自身で考えることが一番いいことなのですから。

19.11.2023.Masafumi.

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