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鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻

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初オ 初雪や鳥屋の鳥の朝の声    樗堂
    堀を真向に寒き茶烟     一茶
   草の中元結干ス杭打ぬらむ    堂
    蜻蛉つい行終かへる月     ゝ
   片照の続ばつゞく秋風に     茶
    飯籠釣ルすうら口の露     ゝ

 ウ ほだしなる仏も人にうち呉れて  堂
    合歓の花塚築キつる哉     茶
   夏かすむ水の曙おもしろや    堂
    冰めりめり榧にくだきて    茶
   県女を右の御座に召れつゝ    堂
    おもひ切レとの仮の捌に    茶

   賭に舟取られぬる松浦がた    堂
    やたらに火焚夜の罔両     茶
   虎吼る古き霊屋の秋の月     堂
    霧吹はれて花紅葉ちる     茶
   芋汁に二日なぐさむ親のもと   堂
    小切貰ふて糠袋ぬふ      茶

名オ おとゝしの鍋の数さへ余所にして ゝ
    けふぞ得がたき法の春風    堂
   山ざくら盛砂ちらす朝もよひ   茶
    炉の残興の一座一服      堂
   鶴に乗て橋立見たきとばかりに  茶
    ひとり棹す千賀のうら島    堂

   売のこる菅菰捨し北時雨     茶
    煩ふ馬の薬問ひけり      堂
   井一ツをもやひ長屋の薄月夜   茶
    娘やりたき星の陰言      堂
   ほつほつと筵に這す秋蚕     茶
    魚買寺の箕を提て出る     堂

 ウ 朝寝する堺の町のうら通     茶
    ぬらくら同士の心やすさや   ゝ
   松笠に燗焚風情旅に似て     堂
    しばし星ある春の山小屋    茶
   五里六里花の跡来る犬の声    堂
    ひがんの七日八日九日     茶

    丙辰初冬会

「樗堂俳諧集」に収録されていた寛政八年十月の樗堂一茶両吟「初雪や」の歌仙を読み進めてまいります。

20.10.2023.Masafumi.

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