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とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻

Berjaln-jalan, Cari angin.
     04

夕かすミ御狩の狸背に負て
 物かく髫髪いたき見る也         一茶

初オ四句、見るで月の出を伺う月前の句。

     〇

物かく もの・書く、ここでは文字を書くこと。

髫髪 うなゐ、幼児の髪型、いわゆるおかっぱ頭のこと。

いたき 抱き、可愛がっている様子。(孫可愛がりのような)

見る みる、「抱きみる」で一語。但し、月前の句であることから、月の出を伺う「見る」とも。

也 なり。

     〇

ゆふかすみ みかりのたぬきせにおひて

  ものかくうなゐいだきみるなり

夕霞に髫髪、付け筋に若紫の<俤>を立たせながら、「孫が字を覚えた」とほくそ笑んでいる老人の姿を<表>に見せていたのです。

     〇

髫髪は、古典から現代文学にまで連なる主要テーマになっていました。伊予では、老人と少女が齎す、さまざまな物語が語られてきた地域でもあったのです。

5.11.2023.Masafumi.

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