見出し画像

鶴ニ乗リテ樗堂一茶両吟/初雪やの巻

     21

 けふぞ得がたき法の春風
山ざくら盛砂ちらす朝もよひ      一茶

名ウ三句、貴人を迎える立砂を高く盛って、と。

     〇

山ざくら やま桜。

盛砂 もりすな、貴人を迎える時に立砂を盛った名残りが、儀式化され地鎮祭などで見ることができます。

ちらす 散らす。散らさば整える。(整えておれば、散らされもするし崩れもする。)

朝もよひ あさ催、俊成は「あさもよひとはつとめて物くふ折をいふなり」と云ってはいたのですが、ここでは、朝の様子、あるいは朝の景色と云ったところでしょう。

     〇

 けふぞ えがたき
         のりの はるかぜ

やまざくら/ もりすなちらすあさもよひ

春風に山桜、しかも貴人を迎える古風な慣習を詠み趣向を凝らしていたのです。粋筋などでは、盛塩の風俗を今に伝えているようですね。

     〇

秀歌に

山ざくら我が見にくれば春霞峰にもをにも立ち隠しつつ  よみ人しらず (「古今和歌集」春上 51)

俳諧の連句に

告て行御成の時の江戸さつま      遠舟
 もり砂并にはうきの守迄       正察 (六日飛脚)

と。

24.10.2023.Masafumi.

いいなと思ったら応援しよう!