とくとくの水麦士一茶/梅の木のの巻
Berjaln-jalan, Cari angin.
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余処のけんくわを語うそ寒
大宮司の稲押たをす浦の波 麦士
名ウ一句、名残り裏入り伊勢の風。
〇
大宮司の だい・ぐうじ・の、おほみや・づかさ・の。ここでは、伊勢の神職の長のこと。
稲 いね、外宮先詣り、農家にとって稔りの大神。
押たをす おし・たをす、(押し倒されるのは願い下げ、どうぞゆるやかに)
浦の うら・の 浦々の。
波 なみ、波平けく、と。(秋は、重々こころして、かかりましょうほどに)
〇
よそのけんくわをかたる うそさむ
だいぐうじの いねおしたをす うらのなみ
前句に続けて、皮肉まじりの句を付けたものだ、と思わせながら、ここは裏入り祝言の句に仕立ていたのです。
〇
喩え噺です。
何、お札の一枚、二枚買わないと云ってるんじゃないぜ。
なら
ならって、暦まで出しやがって、奈良は伊勢の手前だろ。
怒ってんのかい
怒っちゃいないさ、
この際に、、、
云っちゃあなんだけど、あれだ、信心信心と云うけど、信心でかたがつきゃあ医者いらないだろう。
えっつ
何かい、毎日毎日拝んでりゃあ、大宮司さまんところは台風もこないし、地震もないってわけでもないだろう。
あら
あらって、アラは魚のダシだ、みを出してみなってんだよ。
暮れから新春にかけて、御師や、ときには阿波あたりの夷まわしが祝言をのべて廻っていた、迎春の人事句のひとつだったのですね。
〇
これで、名残り裏入り一句、お後がよろしいようで、、、、
12.11.2023.Masafumi.