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樗堂一茶両吟/蓬生の巻 11

   身はぬれ鷺の夕暮の声
  川留の嶋田のかたハ嶋津方         一茶
 初ウ五句、東海道は大井川の川留がこと。
     〇
  川留の
   かわとめ。大井川の普段の水位は二尺五寸。四尺五寸を超えると川留めとなっていたのです。
  嶋田の
   東の宿が島田。(西の宿が金谷)
  かたハ
   あちらの方は。
  嶋津方
   どうも島津藩の方々らしい。(川留になりゃあ、お大名だって渡れないのだから。)
     〇
 みはぬれさぎの
 ゆふくれのこゑ
 かはどめの/しまたのかたはしまつかた
 「土方殺すにゃ刃物はいらぬ雨の三日も降ればよい」「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川」といったところが付け筋だったのでしょう。ふいっと投げ込んだ句に過ぎないのでしょうが、それがますます、真実性を担保することにもなり<説得力>を生んでいました。
     〇
 余外なことながら。
 島田宿には、宗長の古跡があり、芭蕉と如舟の交遊を示す句が残されていました。
■画像は、東海道島田宿。

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