Spotify、AppleMusic、AmazonMusicの比較(料金と各社独自機能)
Spotify
送金機能
Spotifyはリスナーの再生地域ごとに近隣でのツアー情報があれば掲載している。その他Tシャツやアナログレコードなどの物販情報を掲載している。それとSpotifyには寄付機能があって、それを活用していないアーティストも多いのだけど、Paypalなどの送金サービス経由で寄付ができる。The Cureのようなビッグなバンドは自分らへの投げ銭じゃなくHelp Musiciansという、アーティスト支援団体への寄付を促している。
インディーのアーティストは直接的な投げ銭として、送金サービス経由での送金を受け付けていたりする。この機能は使ってるアーティストとそうでないアーティストがいるので、アーティスト側が希望して寄付機能を活用していなければ送金はできない。
カラオケ機能
Spotifyはマイクのマークをタップするとボーカルトラックを消して(完全には消えないけど)カラオケのように使えるカラオケ機能がある。
SNS共有
SNSでの共有の利便性はSpotifyが群を抜いてると言える。noteへの楽曲の貼り付けも、Spotifyからだと1曲フルで再生されるようになっている。
SNSを意識したプラットフォームだと、特に年末のまとめの時期が来ると思う。Instagram、Twitter、至る所でSpotify Wrappedの画像がハッシュタグつきでシェアされているし、SNSを主戦場とするフリーのアーティストたちもアーティスト用のまとめの画像を公開したりしている。各アーティストのプロフィールにもTwitterとInstagramのアカウントがリンクされている。
自分のリスニングデータを見られるStats For Spotify
自分が過去4週間、6ヶ月、年間という単位でどんなアーティストやジャンル、楽曲を聴いているかいつでも振り返りができるStats For Spotifyというサービスがある。
セッション再生機能
Spotifyにだけある機能として、セッション再生という機能がある。
自分が再生している時にTwitterなどのSNSでURLを公開して他のユーザーに入ってきてもらい、入ったユーザーも一緒に聴くだけでなく「次に再生」から再生楽曲を追加できる仕組み。遠隔地の友達とリアルタイムで一緒に聴けるのと同時に、不特定多数の知らない人たちが入ってきて一緒に聴いてくれる、ある種のオンラインDJパーティーのような使い方もできる。
関連アーティスト表示
関連アーティストの表示がいちばん充実していると言われるSpotify、秒単位で音楽に詰まった情報を解析して近接属性のアーティストを提案してくる。ただし、数値での解析が優位なせいか、トレンドやその当時のテクノロジーの設備環境などの影響を受けていると思われる部分があり、例えば20年代の女性シンガーソングライターを聴いていればどんどん最新の女性シンガーソングライターがリコメンドに並ぶ。Berを聴いてるとCateやSamiaをリコメンドしてくる。
しかしジョニ・ミッチェルを聴いていてAnaïsやLaufeyをリコメンドされることはない。音源の解析サイエンスが時代性を突破できてはいない。
料金プラン
SpotifyのSpotify Premiumには月払いと年払いのプランがあり、月払いだと980円だが年払いのプランにすると1年で9800円。2ヶ月分安くなる上に、勝手に自動更新されることがないので期間が終了した後月払いに戻すか年払いで再度加入するかどうか再検討が可能なところが便利。
AppleMusic
歌詞の充実度
AppleMusicは他の2社と比較すると歌詞の掲載に関しては充実度が高い。Spotifyがいちばん歌詞の掲載が少ない体感があるが、SpotifyやAmazonMusicで歌詞が入ってないアーティストもAppleMusicで「歌詞を全て表示」を開くとちゃんと歌詞が載っている。
歌詞の引用、共有
AppleMusicは歌詞を引用してSNSで共有できる。149文字Maxなのだが、149文字に収まり切る単語数、文節(単語の途中で切れるのはダメ)で確定するので単語の並びによっては120文字くらいしか引用できない場合も多い。でも他の2社にはない機能。
カラオケ機能
Spotifyに続いてAppleMusicでもカラオケ機能がつきました。マイクのアイコンをタップしてボーカル・トラックを薄くする機能。
アーティスト・プロフィールの充実
AppleMusicのアーティスト・プロフィールは他の2社よりも充実している。英語で書かれたプロフィールを日本語に翻訳したものなのかは定かではないが、文章力が確かな書き手が書いたクオリティの高いコラムばかりなので読み応えがある。AmazonMusicはSONYのアーティストを中心にトリビアが記載されていたりもするけれども、プロフィールはまだまだ十分ではない。Spotifyは英語のプロフィールがそのまま載っているものが多く、プロフィールが載っていないものはインスタやTwitterなどアーティストのSNSアカウントがリンクされているだけなので、出身地や活動年数などがわからない若手インディー・バンドが無数に出てきて困る。
映像作品の充実
ミュージック・ビデオだけでなく、ライブ映像などのオリジナル配信にも力を入れている。独自企画での映像作品もクオリティが高い。
他のストリーミング配信サービスに乗り換える時は要注意
プレイリストの引っ越しアプリ、iOS用のSongshiftはAmazonMusic、Spotifyには有料会員じゃなくても対応しているけどAppleMusicはサブスクに毎月お金を払っている有料会員じゃないとプレイリストを引っ張ってこられない仕組みになっているようなので、AppleMusicを解約して他のサブスクにプレイリストを持っていこうとするなら解約前にやらないと、アカウントは残ってても有料会員解約後だとプレイリストが取得できなくなる。
アプリを使うとリスニングデータも見られる
FreeYourMusicというプレイリスト引っ越しアプリの場合は、SpotifyのStats For Spotifyみたいな自分が聴いてる楽曲の履歴のデータを取得する機能があって、公式で公開してるSpotifyはもちろん、AppleMusicのデータも取得できる。ただし、モバイルアプリではデータの取得ができないので、FreeYourMusicのデスクトップアプリをダウンロードする必要がある。
それとReceiptfiyというサイトでも、SpotifyとAppleMusicのデータからレシートを生成してくれるサービスがある。
AmazonMusicは聴いてる履歴のデータは取得できない。
料金プラン
AppleMusic単体での契約は月1080円だが、Apple Oneに加入するとAppleMusic、iCloud+ 50GB、AppleTV+、AppleArcadeのセットで月1200円になる。iPhoneやその他AppleユーザーならiCloud+は既に入ってるだろうが、それにストレージがプラスされるし、TV+とMusicとゲームがついてくるのを考えるとApple Oneに加入したら「毎月AppleMusicに月額料金を支払っている」という認識は薄くなっていくので負担が軽い錯覚に囚われる。あくまでも錯覚なんだけど。ファミリープランに入ると月1980円で5つのアカウントまで、上記のサービスを共有して使うことができる。
AmazonMusic
ここまで書いてきて、AmazonMusicに何か特筆するべきサービスってあるっけ?と悩んでしまった。正直言って、独自サービスが、ない。
ビットレートの表示の充実
独自機能としては、他社ではやっていない、Amazonデバイスを使って再生すると楽曲のビットレート、デバイスの性能で再生できるビットレートの上限、そして実際に再生されているビットレートを数値で表示してくれるところだろうか。
空間オーディオは2種類
Spotifyでは空間オーディオ再生はできない。AppleMusicはDolby Atmosに対応している。AmazonMusicは空間オーディオは2種類、Dolby Atmosだけでなく360 Reality Audioにも対応している。
映像作品へアクセスしやすい
AppleMusicでもミュージックビデオは観られるし、プレイリストも作れるが、AmazonMusicの方が映像にアクセスしやすいユーザー・インターフェースで、以前よりもミュージックビデオを観る時間が確実に長くなった。
料金プラン
AmazonMusicは多くの人がAmazonのプライム会員で、プライム会員の特典としてAmazonMusic Primeがついてきているという認識で使っている人が多いと思う。プライム会員は年会費4800円。月払いだと480円。実はそれ以外にAmazonMusic Freeという、完全に無料のプランもある。AmazonMusic UnlimitedにするとAmazonMusic HDが使えるようになり、ハイレゾ再生と映像作品の視聴も可能になる。月払いだと880円、年払いにすると8800円。こういう風に書くとどうしても、割高感を感じてしまう。
AmazonMusic Unlimited無料期間を終えて
9月に3ヶ月無料のキャンペーンでAmazonMusic Unlimitedに加入してから、3社の使い勝手を比較研究する過程で備忘録も兼ねてnoteで書き始めたが、ちょうど無料期間が終了し、月880円自動更新で査収されるようになった。そしてあと2週間でSpotifyの年払い期間が終了する。ここで今後はどのサブスクで有料会員を続けるか、検討するタイミングになったのだが、上記の諸々を勘案しても、AmazonMusic Unlimitedはとりあえず解約はしないという結論に至った。
やはりハイレゾ再生がいちばん手軽にできるのはAmazonMusicで、ハイレゾ再生で聴いていると満足度が高い。Appleデバイスはなかなかセールにならないけど、Amazonデバイスはセールになるとかなり安く手に入るし、それで購入したFire TV Stick 4K MaxとEcho Studio 2台で組んだホームシアター、そして音楽管理端末として愛用しているFire HD 8 PLUSという組み合わせがいちばん便利に、楽に活用できるのはAmazonMusicであるのは確かなのだ。
AppleMusicに関しては、Apple Oneに加入しているので使うのをやめるということはないのだけれどもワイヤレスでのハイレゾ再生の天井が低いとか、楽曲ファイルがハイレゾ対応だと再生中にそう表示されるけど必ずしも再生されているクオリティがその通りとは限らないところがネックに感じている。100%の満足ではないのでAmazonMusicでそこを補いたいと思っている。
Spotifyは友達と一緒にセッション再生をする楽しさとかSNSでの共有機能などの利便性があるものの、アーティストへの利益の還元がいちばん低いのと、音質にどうしても不満が残る。若手のまだ稚拙なアーティストや限られた制作費でレコーディングしているアーティストこそ、せめていい音で聴きたい。だったらBandcampで聴けば良くない?とも思うのだ。Bandcampなら無料ストリーミングもCD音質だし。Premiumの年間会員が切れたあと、そのうちまた年払いでPremiumに入るとは思うが、しばらくはSpotifyは無料会員に戻ってAmazonMusicを中心に使おうと現時点では思っている。新しいアーティストを探すならBandcampもあるし。
ちなみにAmazonMusic Unlimitedは1/11まで新規加入は3ヶ月無料のキャンペーンをやっている。
今日の1曲
今日のパンが食べられます。