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ときめきを着る_1.伊勢丹パトロール

伊勢丹パトロール

「服はどこで買っていますか?」と問われることがまあまああって、どこだろうと考えるのだけれど、あまりにいろんなところで買っていて、絞れないというのが事実あるのだけれど、割合で言うと新宿の伊勢丹が多いのかなと思う。

18歳で上京して、初めて大きなデパートというものを知った。地元の長崎県には、浜屋というデパートがアーケードの中にあるけれど、私の家は裕福ではなかったので、そんなに行ったことがないし、浜屋で服を買ってもらった記憶があまりない。お母さんの好きな子供服のセレクトショップが多かったように思う。

10代の私には、伊勢丹は敷居が高くて、ふさわしくないような気持ちで主に2階と3階のフロアを見ていた。大学の講義で先生が「シャネルやルイヴィトンのお店になるべく行きなさい」と何度も言っていた。目を養え、たくさん感じろ、みたいなことだったと思う。さすがに18歳、1人ではハイブランドには入れなかったので、伊勢丹を選んだ。

19歳か20歳のころ、お父さんが東京に遊びに来た。どういう流れだったか覚えていないけれど、確かコートが欲しいと言って、父と伊勢丹に行った。3階のフロア(とりわけ、リ・スタイルというたくさんのブランドが集まった場所が好き)で、AKIRA NAKAのコートが目に止まった。紺色で厚手、しっかりとした作り、茶色のボタンに太い同じ素材のベルト。父も、これいいね、素敵だね。上品で綺麗だ、と感動していた。試着してみれば、と言うので袖を通した。すこし重たかったけれど、シルエットが本当に綺麗で、着た瞬間、私にぴったりだと感じた。しかし、10万円を超えるコートを、ねだることも、欲しいと言うこともできない。いくつものコートを他のお店でも見たけれどやっぱり忘れられなくて、確か、泣いた気がする。お父さんも、中途半端に何か買うよりいいんじゃない、あれよかったもんね、と買う決断をしてくれた。10年経った今も、現役で着ているし、大事にしているコートだ。

そういうわけで、確かそのときに伊勢丹のクレジットカードを作ったので、何か買うなら伊勢丹、となったのだ。そして21歳のころ、mame kurogouchiがデビューして、目も心も奪われた(mameの回も今後書くと思うので割愛します)。勤めていたセレクトショップでもたくさん買っていたけれど、伊勢丹別注などもあるので、変わらず伊勢丹でも服を買っていた。もちろん化粧品やデパ地下のお菓子なんかも。GUCCIにも足繁く通うようになる。Instagramに、「#伊勢パト」というタグを作って、伊勢丹をパトロールした日はその日のコーディネートを掲載するようになった。会う人に楽しみにしていると言われることが割とある。

伊勢丹パトロール、あなたもした日は、ぜひハッシュタグをつけて投稿してほしい。伊勢丹に行きたくなったので行ってきたのだけれど、お高いクッキーを買ってしまった。

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