9.彼との毎日
初めてキスをしたあの日から、私とレンは頻繁に会うようになった。
仕事終わりになんとなくレンのお店に寄って帰る感じ。
「今仕事終わった」
「これから会社出る」
「もうすぐお店つく」
みたいなやりとりをしながら、レンのお店に向かう。
この時間はまだ開店前で、お客さんは居ない。
店内には、開店準備をするレンと私だけ。
お店に入ると必ずレンが出迎えてくれて、彼に抱き着いて、何度でもキスをする。その瞬間、めちゃくちゃ癒される。
ほぼ毎日会っているのに、ぜんぜん、喋る事が尽きないし何度キスをしても、またしたくなる。
レンとの会話なんて、特に内容のあるものではなくて、その日の仕事で起きた事だとか、久々の田舎生活での不便さだとか、彼からしたらきっと、何の興味もない会話。でも、レンはいつでもただ聞いてくれていた。
お店が開く時間になると私は帰る。
「いつもこんな風に会うだけじゃなくて、普通のデートがしたい」
なんて文句を言ったりしながらも、次の日もまた、仕事終わりにレンのところに行く。
こんな毎日が続いていた。
婚活とか、そうゆう事が少しだけ気にはなっていたけど。
彼と過ごす毎日はあまりにも楽しくて。こんな毎日がずっと続けばいいのになと思っていた。