26.普通の幸せ
2年前の春は、音信不通にされて苦しんでいたけど
この年の春はただただ穏やかな幸せに包まれていた。
春はレンと一緒に桜を見て、夏は海に行って。
秋には紅葉を見に出かけて、冬は暖かい部屋で過ごした。
たまには喧嘩もしながら、季節を感じながら二人で日々を過ごした。
恋人と二人で遠出したり、ただただ一緒にテレビを見て日常を過ごしたり
そんな付き合い方ができたのなんて、もしかしたら初めてかもしれない。と、小さな幸せを噛みしめていた。
一方で、「結婚するかしないか?」問題も自分の中でどんどん現実的に、そして大きな不安になっていて、この幸せを手放してでも結婚を目指すことができる相手を探すべきなのか?それとも、この恋にずっとしがみ付いているのか?この2択でいつも気持ちが揺れていた。
そんな状況でもはやり、結婚を諦めたくなくて。彼をキープしながら婚活を継続するという、中途半端な婚活をしていた。
仕事、恋愛、婚活
この3つのうち、婚活だけがうまくいっていなかった。
36歳という、年齢的な焦りはあったけど、仕事と恋愛が充実していることで、婚活の優先度はどんどん低くなっていた。
結婚にリミットはないけど、出産にはリミットがある。
そう考えた時、出産を望んでいた私にとっては、結婚のリミットも出産に合わせて前倒しになる。この現実に気付いた時、今の恋にしがみついてもいられなくて、新たな出会いを探す動きを止めようとは思えなかった。
レンとの結婚はきっと、叶わないものだと、徐々に諦めはついていた。