１３．彼氏と、婚活と

あの日レンに言われた

「俺なんかと居たら婚期逃しちゃうよ」

の真意を問いただせないまま
いつも通りの毎日を過ごしていた。

私は結婚したいと思っている。
あなたは、結婚を考えていますか？

と、シンプルに聞いてみれば良いだけなのに、
当時の私から彼に聞くことはできなかった。
レンとの、当たり前の毎日が壊れてしまうことが怖くて、
聞けなかった。

でも、聞くまでもなく、彼の考えは、テキストに書いてあるそのままでしかない。てことも、なんとなく理解していた。

レンに結婚願望がないのだから
このままレンと一緒に居ては本当に婚期を逃してしまう　
という焦りもあって。
彼との関係をキープしつつ、婚活をしようと決めた。
婚活パーティー、コンパ、知り合いからの紹介、出会いのある場所には積極的に出かけた。その帰りに、レンと会うという、ちょっと変わった婚活をしていた。

レンという逃げ道があったことで、婚活パーティーでマッチングしなくても、コンパで良い人が居なくても、全然精神的ダメージはなかった。

婚活パーティーが終わるのがだいたい19時〜20時頃で、ちょうどレンが帰ってくるのもその時間。パーティー終わりでレンに会うのは、時間的にもちょうど良かった。

そもそも、本気の恋をしている相手が居るのに、他の誰かを無理矢理探そうと出かけたって、良い人が居るわけがない。それに、30半ばの婚活は、年齢に関してわりと厳しい事を言われてしまうこともあった。
けど、どんなに婚活がうまくいかなくても、その帰りにレンと会えば少しの不安と隣り合わせではあるものの、ある程度心は満たされた。

婚活が上手くいかないことなんて、全く気にならなかった。
何なら、この関係を続けている事で、彼の気持ちが変わるかもしれない
という、希望を持っていた。